九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

GABA含有量を高めたサトウキビ乳酸発酵飲料

要約

10~12.5%の脱脂乳と30~40%の蔗汁からなる培地を105°Cで15分間加熱殺菌し、乳酸菌種YC380を接種して35°Cで24時間発酵させると、15.3~17.8mg/100mlのGABAを含有するサトウキビ乳酸発酵飲料を製造できる。 

  • キーワード: サトウキビ、乳酸発酵、GABA、機能性
  • 担当: 沖縄県農研・農業システム開発班
  • 代表連絡先: 電話098-840-8502
  • 区分: 九州沖縄農業・フードシステム
  • 分類: 技術・普及

背景・ねらい

沖縄県農業研究センターでは、サトウキビ有用成分のうちγーアミノ酪酸(GABA)に着目し、これまでに乳酸発酵によるGABA増強技術を開発した(2006年度成果情報)。この成果を実用に移す段階の研究として、サトウキビ由来の有用成分を含有し、さらに、乳酸発酵によってGABAが増強され、かつ、嗜好性に優れた乳酸発酵飲料を開発する。 

 

成果の内容・特徴

  • サトウキビを原料に用いた乳酸発酵飲料の製造には、GABA生産性から乳酸菌種YC380(ハンセン社製)が適する(データ省略)。YC380は35~40°Cで24時間の乳酸発酵により、15mg/100ml以上のGABAを生産する(図1)。
  • 培地の脱脂乳濃度を高くするとGABA生産量も増加する(図2)が、蔗汁濃度は20~40%でGABA生産量に差異は無く、50%では逆に低くなる(データ省略)。
  • 10~12.5%の脱脂乳と30~40%の蔗汁からなる培地を105°Cで15分間加熱殺菌し、乳酸菌種YC380を接種して35°Cで24時間発酵させると、15.3~17.8mg/100mlのGABAを含有するサトウキビ乳酸発酵飲料を製造できる。脱脂乳濃度を高くすると酸度が高く、濃厚な食感となる。蔗汁濃度を高くすると、甘味が強くなる一方で酸味が低下し、香りや味の濃さも高くなる(表1)。
  • サトウキビ乳酸発酵飲料は、抗酸化性、抗変異原性およびACE阻害活性を示す。このうち抗酸化性および抗変異原性は、サトウキビを用いない場合に比べて増大する(図3)。

成果の活用面・留意点

  • 当該技術を活用したサトウキビ乳酸発酵飲料が市販されている。
  • 市販の凍結乾燥菌種を用いるために取扱いが容易で、小規模施設でも利用できる。
  • サトウキビ原料は「NiF8」(夏植、1月上旬収穫)を用いた。

具体的データ

図1

図2

表1

図3

 

その他

  • 研究課題名: 乳酸菌による発酵を利用した高GABA含有飲料の開発予算区分: 受託(沖縄黒糖安定供給調査事業)
  • 予算区分:受託(地域イノベーション)
  • 研究期間: 2008年度
  • 研究担当者: 広瀬直人、照屋亮