九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

サトウキビ作業受託能力評価プログラム

要約

本プログラムは、委託される各種作業と作業面積に応じて、必要な機械台数と作業日数を算出でき、経営力のある生産法人や事業担当者等による作業計画を支援できる。

  • キーワード:サトウキビ、プログラム、受託作業
  • 担当:沖縄農研セ・農業システム開発班
  • 代表連絡先: Tel:098-840-8501
  • 区分:九州沖縄農業・畑作
  • 分類:技術・参考

 

背景・ねらい

サトウキビ作では収穫、植付け、株だし管理などの作業が1月から4月に集中するため、同時並行的な作業体系を構築する必要があるが、今後は経営安定対策の施行により、受託作業量の増加に伴う作業の繁雑化が予想される。本研究では受託者が保有する機械の能力や作業人員から受託能力を評価し、生産法人や事業担当者等の意志決定を支援するプログラムを製作する。

成果の内容・特徴

  • サトウキビ作業受託能力評価プログラムはマイクロソフト社製「アクセス2007」をベースに制作した。図1に作業フローを示す。受託面積と保有する機械の作業能力から、受託作業を終えるまでに必要な機械台数、作業人員、作業日数が算出できる。
  • プログラム上に予め入力が必要なデータは、各種作業機の作業能率(実作業能率)、1日あたりの予定作業時間、平均的な移動時間、作業可能日数、作業毎の作業人員である。これらは作業日誌や県が有する農業機械の性能調査結果から引用できる(図2)。
  • 解析時に入力または選択するパラメータは、受託作業面積、受託圃場数、作業の種類(収穫、培土、植付、耕耘など)、月ごとの作業の優先順位である。
  • 図3に計算結果の画面を示す。委託された作業面積に対し、作業を行うために必要な機械の台数、作業人数、作業日数が算出される(図3)。図中の作業人員は作業No.ごとに区切られる。作業No.が同じ値の場合、作業人員は作業項目を掛け持ちすることになる。たとえば2007年3月の作業内容は収穫と培土である。作業No.が両者とも1であることから、この月の培土作業は収穫作業後に実施される。従って必要作業人員は3名である。一方、2007年2月においては植付作業の作業No.が1であるのに対し、収穫作業の作業Noは2である。これは両作業が同時並行的に実行されることを意味し、必要作業人員は両作業を加算した6名となる。
  • サトウキビさい断式小型収穫機(T社製 TS2001)の作業日誌と収穫機の作業性能をもとに受託作業量をプログラム上で逆算し、実際の作業量との比較からプログラムの精度を確認した。その結果、プログラムから算出した作業量の方が10%程度少ない結果となった。結果に大きく影響するパラメータは平均的な移動時間である。

成果の活用面・留意点

  • 植付け作業では、機種に応じて採苗作業によるロスも考慮できる。
  • プログラムの信頼性に大きく影響する圃場の分散度合、圃場間移動時間は作業日誌などからあらかじめ把握し、使用前に精度の確認を行う必要がある。

具体的データ

 図1

図2

図3

 

その他

  • 研究課題名: 汎用管理機を中心にしたさとうきび機械化システム技術の再構成
  • 予算区分:実用技術
  • 研究期間:2006~2008年度
  • 研究担当者:玉城麿、臼井高江、伊波聡、安谷屋賛、赤地徹