九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

ソバ在来種「鹿屋在来」、茎葉先熟性品種「九州1号」のコンバイン収穫期

要約

ソバのコンバイン収穫期の目安は、鹿屋在来で子実黒化率8割以上、茎葉先熟性品種「九州1号」で子実黒化率6割以上である。

  • キーワード:ソバ、コンバイン、収穫
  • 担当:鹿児島県農総センター・大隅支場・農機研究室
  • 代表連絡先: Tel:0994-62-2001
  • 区分:九州沖縄農業・畑作
  • 分類:研究・参考

 

背景・ねらい

ソバは普通形(汎用)コンバインの普及により大幅省力化が可能となってきている。近年、青粒(未熟粒)の混入率を高めることにより、風味を向上させる早期収穫法が一部地域で実施されているが、早期収穫によって収穫作業時の損失が著しく増加する等の問題があり、作業性から見た収穫期の見極めが重要となっている。そこで、主要品種の「鹿屋在来」と現在育成中の「茎葉先熟性品種(九州1号)」について、コンバイン収穫を前提とした収穫期について検討する。

成果の内容・特徴

  • 鹿屋在来をコンバイン収穫する場合、子実黒化率が8割に満たない時期に収穫すると未熟粒の混入や収穫損失が著しく増加する。損失と夾雑物の混入を低下させるには、子実黒化率が8割以上確保された時点での収穫が望ましい(図2、図3)。
  • 茎葉先熟性品種(九州1号)については、鹿屋在来に比べ早期収穫による損失並びに夾雑物の混入が少なく、子実黒化率が6割以上確保された時点での収穫が可能である(図2、図3)。
  • 作業能率は、茎葉の倒伏程度や草量等によって左右されるが、鹿屋在来で0.7~0.8h/10a、九州1号で0.5~0.6h/10aである。収穫末期まで青葉が残る鹿屋在来に比べ、茎葉が先熟し枯れ上がりが早い九州1号が作業能率はやや高い(表1)。

成果の活用面・留意点

  • 普通形コンバインを用いた事例であり、バインダ刈りや手刈りには適応できない。
  • コンバインの運転条件を収穫期、品種を問わず同一条件下で実施した場合の事例であり、揺動選別部等の調整によっては傾向が異なることがある。なお、供試機の脱穀部受け網(コンケーブ)は従来型の固定式格子受け網である(図1)。
  • 本成果は、品種育成・選抜を行う際の基礎資料としても活用できる。

具体的データ

図1

図2

図3

表1

  

その他

  • 研究課題名:適期刈りを可能とする茎葉先熟性ソバ品種と省力栽培技術の開発
  • 予算区分:高度化
  • 研究期間:2005~2007年度
  • 研究担当者:大村幸次、森清文、西原悟