九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

カキの超低樹高一文字仕立てによる軽労安定生産

要約

カキの超低樹高一文字仕立ては管理作業に脚立が不要で、手下げ姿勢の割合が多くなり、軽労化できる。1樹当たりの収量は立ち木仕立てと比べて少ないが、密植により10a当たり収量は11年生で35%多くなり、果実品質は同等である。

  • キーワード:カキ、超低樹高一文字仕立て、作業性、軽労化、収量
  • 担当:福岡農総試・果樹部・果樹育種チーム
  • 代表連絡先: Tel:092-922-4946
  • 区分:九州沖縄農業・果樹
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

カキは樹高が高く、せん定や収穫等が高所の作業になるため労働負担が大きく、意欲ある農家でも経営面積の拡大ができない状況にある。そこで、従来の立ち木仕立てより樹高が顕著に低い超低樹高一文字仕立てを開発し、収量、果実品質および作業性等に及ぼす影響を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 1mの高さで二本の主枝を水平に分岐させたカキの超低樹高一文字仕立てを開発した。本仕立て法では、パイプ等の簡単な資材により樹高が最高でも2m程度と立ち木仕立てに比べて顕著に低く仕立てることができる(図1、図2)。
  • 超低樹高一文字仕立てでは、摘らい、摘果、収穫作業に脚立が不要となる。花らいの増加により10a当たりの摘らい時間が長くなるが、摘果に要する1果当たりの作業時間は短くなる(表1、一部データ略)。
  • 摘らい時における心拍数は立ち木仕立てに比べて少なく、摘らい、収穫時には作業がしやすい手下げ姿勢の割合が顕著に多くなる(表1、一部データ略)。
  • 1樹当たりの収量は超低樹高一文字仕立てで少ないが、密植により10a当たり収量は立ち木仕立てに比べて樹齢11年生で35%多くなり、果実品質は同等でへたすきが軽減される(表2、表3)。

成果の活用面・留意点

  • カキの新植、改植時に、軽労生産を重視する新たな仕立て法として適用できる。
  • 栽植距離は株間5m、列間3.5mを基本とし、樹勢や土壌条件に応じて調整する。結果母枝は80本/樹(8本/m2)、葉果比15程度とする。
  • 側枝は3年程度を目安に基部より切除に不定芽由来新梢の発生を促す。主枝から発生した不定芽由来新梢は必要に応じて棚線に誘引し、次年度の結果母枝として利用する。
  • 低樹高により晩霜害を受けやすくなるので、晩霜害常襲地での設置は避ける。
  • 一文字仕立て棚の設置コストは、パイプ等を利用した場合で約74万円/10a、年償却費3.7万円で、従来の平棚施設(約81万円/10a、年償却費4万円)より安くなる。

具体的データ

図1

図2

表1

表2

図3

その他

  • 研究課題名:カキの超低樹高ネット栽培による省力安定生産技術の開発
  • 予算区分:県単
  • 研究期間:2006~2008年度
  • 研究担当者:藤島宏之、千々和浩幸、白石美樹夫、牛島孝策、松田和也