九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

ヒリュウ台「今村温州」における植え付け時の適正なバーク堆肥施用量

要約

ヒリュウ台「今村温州」において植え付け時の植え穴にバーク堆肥を容量比で20~30%施用することで初期の樹冠拡大が促進されるとともに、収量の増加やBrixの向上が図られる。

  • キーワード:ヒリュウ台、今村温州、バーク堆肥
  • 担当:佐賀果樹試・常緑果樹研究担当
  • 代表連絡先: Tel:0952-73-2275
  • 区分:九州沖縄農業・果樹
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

「今村温州」の安定生産のためにヒリュウ台を用いた栽培が進められているが、カラタチ台に比べ初期の樹冠拡大等に課題がある。
そこで、ヒリュウ台「今村温州」での初期の樹冠拡大や収量、果実品質にとって、植え付け時の最適なバーク堆肥の施用量を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 植え付け後の樹容積は1年後には処理間の差が見られ30%施用区が最も大きく、10%区が最小である。処理3年後には20%区と30%区はほぼ同様の樹容積で、10%区の約1.4倍である(図1)。また、幹周の肥大も30%区で大きくなる(図2)。
  • 収量は着果当初から30%区が多く推移し、10%区と20%区はほぼ同等である。着果3年目の収量は30%区が10%や20%区に比べ、約1.2倍に収量が増加する(図3)。
  • 果実品質において、バーク堆肥の施用量が多くなるにしたがい、Brix、クエン酸ともに高くなる(表1)。

成果の活用面・留意点

  • 植え付け時に1m×1m×0.5mの植え穴を掘り、バーク堆肥を植え穴の容量に対し10%、20%、30%施用し、混和後苗木を各処理5樹、合計15樹を用いた。
  • 樹冠の拡大促進には植え付け後の芽かき等の新梢管理も重要になる。
  • ヒリュウ台はカラタチ台に比べると根域が浅いため、強風等で倒伏しやすく、さらに「今村温州」は枝が裂けやすい特徴があることから、支柱による誘引は確実におこなう。
  • 乾燥防止のため植え付け後は敷きワラを実施し、乾燥が続くようであればかん水をおこなうなどの対策をとる。
  • バーク堆肥の施用量が多くなるとBrixとともにクエン酸も高くなるが、2月上中旬まで貯蔵するので問題とはならない。

具体的データ

図1

図2

図3

表1

その他

  • 研究課題名:わい性台木「ヒリュウ」を用いた高糖系温州の高品質果安定生産技術の確立
  • 予算区分:県単事業
  • 研究期間:2004~2008年度
  • 研究担当者:新堂高広、高取由佳、貝原洋平
  • 発表論文等:園芸学会九州支部研究収録第17号、P23