九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

ブドウ黄緑色系品種「ロザリオビアンコ」の環状はく皮の処理時期の拡大

要約

「ロザリオビアンコ」において満開35日後に主幹部に環状はく皮を行うことによって、糖度18度以上、酸度0.5程度の高品質の果実が生産できる。さらに満開45日後、60日後に同じ処理を行っても、同等以上の品質向上効果がみられる。

  • キーワード:ロザリオビアンコ、環状はく皮、処理時期拡大、品質向上
  • 担当:佐賀果樹試・落葉果樹研究担当
  • 代表連絡先: Tel:0952-73-2275
  • 区分:九州沖縄農業・果樹
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

佐賀県は「巨峰」中心の産地であるが、赤色系や黄緑色系の品種の導入が進められている。「巨峰」を中心とした黒色系品種や赤色系品種は温暖な気候による着色不良、黄緑系品種「ロザリオビアンコ」は出荷時期の遅れや低糖度が問題となっている。現在、県内では満開30~35日後を目安に環状はく皮を行うことで熟期促進、品質向上が図られている。ここでは、より導入しやすい技術とするために環状はく皮の処理時期の拡大を目的とする。

成果の内容・特徴

  • 「ロザリオビアンコ」は満開35日後に主幹部に幅2cmで環状はく皮を行うと、収穫時期に環状はく皮区が無処理区に比べ糖度が高くなる。酸度は、環状はく皮区と無処理区でほとんど差はみられない(表1)。
  • 「ロザリオビアンコ」は満開35日後、45日後、60日後に幅2cmで環状はく皮を行うと、糖度は満開45日後処理が最も高く、続いて60日後処理、35日後処理となる。酸度は満開45日後処理と60日後処理が同等で、満開35日後処理が最も高くなる(表2)。
  • 「ロザリオビアンコ」において、糖度は環状はく皮区では満開35日後処理、45日後処理、60日後処理で推移には差があったものの(図1)、収穫時の糖度は18度以上になる(表2)。また、酸度も推移には差があったものの(図1)、収穫時期には0.5(g/100ml)程度になる(表2)。

成果の活用面・留意点

  • 環状はく皮は樹勢低下の恐れがあるので樹勢が弱い樹には処理しない。
  • 開花60日後に環状はく皮を行っても、完全に癒合する。
  • はく皮部はスカシバ類、コウモリガの食害に注意し、必要に応じて殺虫剤を散布する。
  • 着果過多は品質低下を招く大きな要因であるので、適正着果量(1.5~2.0t/10a)を守る。

具体的データ

表1

表2

図1

 

その他

  • 研究課題名:赤色系、黄緑色系ブドウの新品種の栽培技術確立による新商材の開発
  • 予算区分:県単
  • 研究期間:2005~2010年度
  • 研究担当者:児玉龍彦、福田浩幸、稲富和弘、加藤恵