九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

隔年交互結実栽培利用の完熟栽培によるカンキツ「清見」果実の高品質化

要約

「清見」は4月まで樹上で完熟栽培することで2月収穫の果実よりも品質が向上し、さらに隔年交互結実栽培を利用すると慣行栽培より細根量が多く樹体栄養が高まる傾向となって品質向上の効果がより高まる。

  • キーワード:清見、隔年交互結実栽培、完熟栽培、果実品質
  • 担当:佐賀果樹試・常緑果樹研究担当
  • 代表連絡先: Tel:0952-73-2275
  • 区分:九州沖縄農業・果樹
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

露地栽培のカンキツ「清見」では、凍害を回避する目的などから2月頃までに収穫されることが多く、その場合には糖度が低くクエン酸含量が高いなど商品性の低い果実になりやすく、長期貯蔵中の果実腐敗や虎斑症等の発生などの問題も生じている。そこで、隔年交互結実栽培を利用して4月まで樹上で完熟栽培した「清見」の果実品質の特性について、慣行栽培との比較や年次変動などを調査することで明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 「清見」の果実は、4月まで樹上で完熟栽培することで、2月より糖度が上昇し減酸が促進する。さらに隔年交互結実栽培を利用して完熟させることで、慣行栽培よりも糖度上昇と減酸促進の効果が大きくなり、4月の果実品質は糖度12、クエン酸含量1.1%程となる(図1)。
  • 4月における果実階級別の果実品質は、全階級において隔年交互結実栽培が慣行栽培より糖度が同等からやや高く、クエン酸含量は低くなり、階級間の値のばらつきも小さい(表1)。
  • 隔年交互結実栽培樹では、特に遊休樹において慣行栽培樹よりも細根の発生量が多く、葉中窒素濃度が高い傾向となる(表2)。

成果の活用面・留意点

  • 「本成果での着果管理は、隔年交互結実栽培の生産樹では葉果比40~60程、慣行栽培樹では葉果比80~100程を目安に摘果した。果実肥大などを考慮すると、隔年交互結実栽培の生産樹では葉果比60程で着果させることが望ましい。
  • 隔年交互結実栽培の遊休年の管理では、全摘果作業などと合わせて有機物施用などの土作り作業を行うことが、栽培法の効果を発揮させるために重要である。
  • 4月までの樹上での完熟栽培では防寒対策を取るのとともに、3月以降に鳥害が発生しやすいため防鳥ネットなどの鳥害対策を取る。

具体的データ

 図1

表1

表2

  

その他

  • 研究課題名:温暖化に対応したカンキツの総合的な高品質安定生産技術の確立
  • 予算区分:県単
  • 研究期間:2009~2015年度
  • 研究担当者:貝原洋平、新堂高広