要約
露地栽培「せとか」では、樹冠の上部1/3に着果した果実を全摘果し、中・下部に着果させることにより傷や褪色などの果面障害の発生が軽減されるとともに、袋かけや収穫に要する時間を短縮できる。
- キーワード:せとか、着果、果面障害
- 担当:長崎農技セ・果樹研究部門・カンキツ研究室
- 代表連絡先: Tel:0957-55-8740
- 区分:九州沖縄農業・果樹
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
「せとか」は外観が優れ、品質も良好なため、市場での評価も高く、高値で取引されている。しかしながら、果面が滑らかなで枝梢にトゲが多いことから露地栽培では風傷が多発するとともに、収穫前の褪色が発生しやすく、商品性の低下を招いている。そこで、果面障害の発生を軽減させるための着果方法を明らかにする。
成果の内容・特徴
- 樹の下部になるほど風当たりが弱いので、樹冠中・下部に着果させることにより、傷の発生は約2/3に軽減できる(図1、表1)。また中・下部の果実は褪色の発生も少ない。
- 樹冠の中・下部に着果させることにより、全面着果させる場合と比べ、袋かけに要する時間を約20%短縮できる(表2)。
- 樹冠中・下部に着果した果実の収穫に要する時間は樹冠上部と比べ、約30%短縮できる(表2)。
- 着果方法を変えても収量、果実重はほぼ同じである(表2)。
成果の活用面・留意点
- 傷及び褪色の発生程度は園地条件や気象条件により変動する。
- 露地栽培では樹冠中・下部でも障害果の発生が多いので、外周部を中心に袋かけを実施した方がよい。
具体的データ
その他
- 研究課題名:機能性に富む中晩生カンキツの高品質果安定生産技術の確立
- 予算区分:県単
- 研究期間:2004~2008年度
- 研究担当者:林田誠剛