要約
「無核紀州」では、10月上旬からの土壌乾燥による水ストレスの付与で、糖度12以上の果実が11月中旬~下旬に生産できる。
- キーワード:無核紀州、透湿性シート、土壌水分管理、水ストレス
- 担当:鹿児島農総セ果樹・栽培研究室
- 代表連絡先: Tel:0994-32-0179
- 区分:九州沖縄農業・果樹
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
本県特産の紀州ミカン(小ミカン)は特有の香りや食味を持ち、年末の需要期の商材として、消費者にも根強い人気があるが、種子があるため、食べ易さに課題を抱える。小ミカンの無核品種として「無核紀州」があるが、糖度が低いなどの欠点があり、栽培面積が少ない。そこで、透湿性シートマルチを利用した「無核紀州」の糖度上昇技術を確立する。
成果の内容・特徴
- 「無核紀州」は、9月上旬からの透湿性シートマルチの被覆により、土壌水分をpF値3程度で管理し、10月上旬以降に葉の水ポテンシャルが-1.0MPa程度の水ストレスを付与することで、糖度は11月中旬~下旬に12以上となり、露地栽培に比べて1以上高くなる(表1、図1、図2)。
- 着色が促進され、11月下旬には、ほぼ全果が完全着色となる(表2)。
- 果実はやや小さくなり、中心の階級はS~Mとなる(表2)。
成果の活用面・留意点
- 園の周囲には、止水シートを80cmの深さまで埋め込み、外部からの水の流入を防いだ。
- 本成果は、カラタチ台開張ポンカンに高接ぎし、結実1~2年目の結果である。
- 本成果は、灰色台地土で主要根群域40cmの園地による結果であり、根群域の深い園地では糖度上昇の効果が弱まる。
具体的データ
その他
- 研究課題名:本県特産カンキツの新商材および省力栽培技術の開発
- 予算区分:県単
- 研究期間:2007~2008年度
- 研究担当者:川村秀和、東明弘
- 発表論文等:園芸学会九州支部研究集録第17号:22