九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

気候温暖化がウンシュウミカンの生育および果実形質に及ぼす影響

要約

気候温暖化により、ウンシュウミカンでは満開日が前進化し、発芽から満開までの日数が短縮化している。また果実着色が遅れ、成熟期の果実糖度が減少している。

  • キーワード:気候温暖化、ウンシュウミカン、満開日、着色、品質
  • 担当:熊本農研セ果樹・常緑果樹研究室
  • 代表連絡先: Tel:0964-32-1723
  • 区分:九州沖縄農業・果樹
  • 分類:研究・参考

背景・ねらい

熊本県はウンシュウミカンの主産地であるが、近年は開花期の前進化や着色の遅延、果実品質の低下など、温暖化の影響と思われる現象が多発している。これらの障害を引き起こす条件を予測、または軽減するための基礎データとして、ウンシュウミカンにおいて温暖化がもたらす影響を解析する。

成果の内容・特徴

  • 1978年を基点とした過去31年間の平均気温は、ほぼ年間を通じて上昇しており、特に9、10月および5月の上昇が大きい(データ略)。
  • 発芽日は「興津早生」、「青島温州」ともに1978年以降、大きな変動は見られない(データ略)。
  • 満開日は「興津早生」、「青島温州」とも年々早くなっており、特に2000年以降の前進化が著しい(図1)。
  • 果実の着色開始日は、「興津早生」、「青島温州」ともに年々遅くなっている(図2)。
  • 成熟期における果実品質は、「興津早生」、「青島温州」とも、クエン酸含量は明らかな差が見られないものの、糖度(Brix)は中期は前期に比べ増加し、後期は中期に比べ減少している(表1、図3)。
  • 満開日~果実成熟期までの積算温度が増加傾向にあり、積算温度が大きい年ほど、成熟期の果実糖度、クエン酸含量ともに低くなる傾向が見られる(データ略)。

成果の活用面・留意点

具体的データ

 図1

図2

zう3

 

表1

その他

  • 研究課題名:地球温暖化が園芸作物に与える影響評価
  • 予算区分:独法委託
  • 研究期間:2009年度
  • 研究担当者:川窪裕二、北園邦弥、藤田賢輔