九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

灰色低地土におけるハウスニガウリのリアルタイム診断基準

要約

ハウスニガウリにおける作物体の硝酸(NO3-)によるリアルタイム診断基準は、栽培中期(1月頃)までは主茎の下から15節目程度の葉柄汁液で6000mg/L以上である。その後は成長点から5~6本目のひ孫づるのまきひげ汁液で300mg/L、後期以降は200mg/L以上である。土壌の簡易振とう法によるECは0.2dS/m以上である。これらを下回らないように管理する必要がある。 

  • キーワード: ハウスニガウリ、リアルタイム診断、灰色低地土
  • 担当: 宮崎県総合農業試験場・土壌環境部
  • 代表連絡先: 電話0985-73-2124
  • 区分: 九州沖縄農業・生産環境(土壌肥料)
  • 分類: 技術・参考  

背景・ねらい

環境保全型で効率的な施肥技術としてリアルタイム診断技術があり、本県においてはこれまでに促成ピーマンと抑制キュウリでマニュアルを作成している。
近年、宮崎県内ではニガウリの生産量が増加してきているため、灰色低地土におけるハウスニガウリにおいて診断指標を確立する。 

成果の内容・特徴

  • かん水施肥で5割減肥しても収量は県慣行よりも増加しているため、5割減肥区の数値も適正値である(表1)。
  • 栽培中期(1月頃)までは主茎の下から15節目程度の葉柄汁液を絞り、硝酸(NO3-)を測定すると6000~10000mg/Lで推移する。かん水施肥区での施肥量を反映した顕著な差は見られないが、追肥を減肥して6000mg/L未満になると生育が著しく低下する(図1)。
  • 栽培中期(1月)以降では、ひ孫づるの成長点から5~6本目のまきひげの硝酸(NO3-)を測定すると200~500mg/Lで推移する。かん水施肥区での施肥量も反映した測定値となっており、これらの数値を下回ると生育が著しく低下する(図2)。
  • 簡易振とう法による土壌のECは0.2mS/cm以上で推移する。(図3)。
  • これらの値を下回らないように管理すると健全な生育を示し、十分な収量が得られる。

成果の活用面・留意点

  • 葉柄、まきひげの採取は晴れた日の午前中に実施する。
  • 作型はハウスニガウリ(佐土原3号)(10月上旬定植、3月下旬まで収穫)の栽培であり、仕立て方は主茎を18節程度で摘心し、子づる、孫づるを3節で止め、ひ孫づるを放任した。仕立て方や品種が異なる場合には、適正基準の検討が必要である
  • 採土は株間の土壌(0~15cm)で、散水チューブから5cmほど離れた場所から採取する。
  • 簡易振とう法は、容積比で土壌:水=1:5でポリ容器に入れ、1分間手で振とうする。
  • 本圃場では除塩を行っている。養分蓄積の少ない圃場での結果である。

具体的データ

表1

図1

図2

図3

 

その他

  • 研究課題名: 施設ニガウリ等におけるかん水施肥技術及び簡易診断技術の開発
  • 予算区分: 県単
  • 研究期間: 2006~2008年度
  • 研究担当者: 甲斐憲郎、川﨑佳栄