九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

収量・品質が優れるビール大麦品種「サチホゴールデン」の大分県における特性

要約

ビール大麦品種「サチホゴールデン」は早生でオオムギ縞萎縮ウイルス I ~ III 型系統に抵抗性を有し、うどんこ病に強く、多収、大粒で外観品質が優れることから、「アサカゴールド」に替えて大分県で認定品種に採用する。

  • キーワード: ビール大麦、多収、大粒、外観品質
  • 担当: 大分県農研セ・水田農業研究所・水田農業担当
  • 代表連絡先: Tel:0978-37-1160
  • 区分: 九州沖縄農業・水田作・作物
  • 分類: 技術・普及

背景・ねらい

本県のビール大麦は豊後大野市で「アサカゴールド」が契約栽培されてきたが、近年未熟粒や退色等による外観品質の低下によりビール麦として検査に合格しにくい状況になっている。ビール大麦として合格しなかった場合、収入が激減することもあり生産者の作付け意欲の低下を招いている。この状況を打開するため外観品質が優れ、ビール大麦として安定して合格する品種への転換が求められている。そこで「アサカゴールド」に比べて外観品質が優れるビール大麦品種を選定する。

成果の内容・特徴

「サチホゴールデン」は栃木県農業試験場栃木分場(ビール大麦指定試験地)において、「大系R4224」と「関東二条29号」の交配により育成された醸造適性が優れ、オオムギ縞萎縮ウイルス I ~ III 型系統に抵抗性を有するビール大麦である。「サチホゴールデン」の大分県における特性は「アサカゴールド」と比較して以下のとおりである。

  • 出穂期は4日早く、成熟期は3日早い早生種である(表1)。
  • 稈長は同程度かやや短く、穂長は同程度。穂数はやや多い。耐倒伏性はやや優れる(表1)。
  • うどんこ病に強い(表1)。
  • 千粒重がやや重く、収量性は優れる(表2)。外観品質はやや優れる(表2、図1)。
  • 側面裂皮粒はやや多いが、検査等級とは相関はなく格落ち理由にはなっていない(図2)。

成果の活用面・留意点

  • 平成23年産より認定品種として「アサカゴールド」に替えて約50ha作付の予定である。
  • 早播きすると凍霜害や側面裂皮粒がやや発生しやすくなるため、適期播種(11月下旬~12月上旬)に極力努め、中間管理(踏圧、土入れ)を徹底する。

具体的データ

表1

表2

図1

図2

その他

  • 研究課題名: 麦類奨励品種決定調査
  • 予算区分: 県単
  • 研究期間: 2001~2008年度
  • 研究担当者: 大成 忍、安井 利昭、壽福 和子、白石 真貴夫、永元 良知、二宮 淑恵、長谷川 航、北園 景一、野村 健秋