要約
乾乳期間を通常乾乳60日から40日に短縮しても、分娩状況、乳生産性、繁殖性に差はなく、搾乳期間延長分の乳生産量が増加する。
- キーワード:乳牛、乾乳期間短縮、40日、分娩状況、乳生産性、繁殖性
- 担当:熊本畜研・大家畜研究室
- 代表連絡先: Tel:096-248-6433
- 区分:九州沖縄農業・畜産・草地(家畜)
- 分類:技術・普及
背景・ねらい
乾乳期間は従来から60日間が推奨されているが、近年のホルスタイン種の泌乳能力が飛躍的に向上したため、分娩60日前でも20kg/日以上の乳量があり、乾乳期間を再検討する必要が生じている。
乾乳期間の短縮が出来れば搾乳期間延長による乳生産量の増加が見込まれる。また、分娩後の泌乳曲線の平準化も示唆されており、その結果として分娩後の疾病発生の低減や繁殖成績向上の可能性もある。
そこで乾乳期間の短縮が分娩状況、泌乳成績、繁殖成績等に与える影響について検討する。
成果の内容・特徴
- 乾乳前の産乳成績は両区に差はなく、試験区における乾乳期短縮による搾乳期間延長分(乾乳前3週間)の乳生産量は325kgである(表1)。
- 分娩難易度、子牛生時体重、母牛の初乳の比重およびIgG濃度に両区に差はない(表2)。
- 分娩後43週乳量および乳成分については両区に差はない。最高乳量、最高乳量到達日についても差はなく泌乳曲線への影響は認められない(表1)。
- 初回発情までの日数、受胎率等に差はない(表3)。
成果の活用面・留意点
- 乾乳期間を短縮する乳牛の飼養管理に活用できる。
- 乾乳期短縮により乾乳牛管理に係る労力の軽減が期待できる。
- 実際の乾乳処理に当たっては、乾乳前の乳量だけでなく、体重やボディコンディションスコア(BCS)も考慮に入れて管理する。また、本成果は2産以上の経産牛によるものであり、初産の乳牛についてはさらに検討が必要である。
具体的データ
その他
- 研究課題名:乳牛の分娩前後の精密管理技術の開発
- 予算区分:県単
- 研究期間:2006~2009年度
- 研究担当者:時田康広(熊本畜研)、吉村義久(岐阜畜研)、丸山朝子(千葉畜総研)、村中洋美(千葉畜総研)、山科一樹(富山畜研)、生田健太郎(兵庫淡路農技セ)、加藤和雄(東北大院農)、田鎖直澄(北海道農研)、寺田文典(畜産草地研)