九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

肉用鶏飼料への飼料用籾米添加による生産性低下はアミノ酸の補填によって回復する

要約

市販飼料への飼料用籾米(単価45円)の添加によって飼料単価は低下するが、重量構成比30%を超えると体重を減少させ、腹腔内脂肪重量を増加させる。しかし、この生産性の低下は、飼料への不足する単体アミノ酸の添加によって回復する。

  • キーワード:飼料用籾米、単体アミノ酸、肉用鶏、体重、腹腔内脂肪重量
  • 担当:熊本県農業研究センター・畜産研究所・中小家畜研究室
  • 代表連絡先: Tel:096-248-6433
  • 区分:九州沖縄農業・畜産・草地(家畜)
  • 分類:技術・普及

 

背景・ねらい

近年、世界的な穀物価格、飼料価格の高騰が起きている。一方、わが国の食糧自給率はカロリーベースで40%に低迷しており、食料、とりわけその殆どを輸入穀類に依存している鶏の飼料自給率を向上させることは喫緊の課題である。この問題に対し、最近では、飼料用米の利用が推進されているが、飼料用米を市販飼料に外付けで添加した場合、生産性の低下が懸念される。また、飼料用米の形状としては、籾米のままでの給与がコスト削減の面から望ましい。
このようなことから、肉用鶏生産において市販飼料への飼料用米(籾)の適切な添加量を検討するとともに、飼料用米(籾)添加市販飼料への不足する単体アミノ酸の添加による飼料中のアミノ酸バランスの改善が、生産性に及ぼす影響を検討する。

成果の内容・特徴

  • 市販飼料に単価45円の飼料用米(籾)を添加すると、飼料単価は飼料用米(籾)添加量の増加とともに低下し、飼料用米(籾)30%の添加では6円程度の飼料コストの減少が期待できるが、不足する単体アミノ酸を添加した飼料ではその経済効果は減少し、3円程度となる(表1)。
  • 市販飼料に総重量比30%以上飼料用米(籾)を添加すると、市販飼料に比較して、12週齢時の体重が減少し(P<0.05)、腹腔内脂肪が増加する(P<0.05)。また、筋胃重量も有意に(P<0.01)増加する(表2)。
  • 市販飼料に総重量比30%飼料用米(籾)を添加した飼料を4~15週齢の間肉用鶏に給与することによって生じた体重の減少、腹腔内脂肪の蓄積は、不足する単体アミノ酸添加によって回復する(表3)。

成果の活用面・留意点

  • 8週齢時においては、飼料用米(籾)添加による影響が大きく、単体アミノ酸添加による体重の回復は期待できない。
  • 本成果は、市販飼料に籾米を自家配合して給与し、12週齢時以降に出荷する地域特産鶏の生産現場において適応できる。

具体的データ

表1

表2

表3

  

その他

  • 研究課題名: 飼料用米を活用した家禽の低コスト飼育技術の開発
  • 予算区分: 県単
  • 研究期間:2009~2011年度
  • 研究担当者:佐伯祐里佳、大場憲子、大塚真史、家入誠二