九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

超音波画像のデジタル解析によるロース芯面積推定および肉質(脂肪交雑)の判定手法

要約

デジタル処理した超音波画像を移動平均処理することで、ロース芯面積の推定精度は高くなる。また、コマ毎のロース芯内輝度差と枝肉断面のロース芯内脂肪面積割合との関係は、2次曲線の回帰で示され、60%以上の寄与率となる。

  • キーワード:超音波、肉質診断、画像解析、肥育牛
  • 担当:長崎農技セ・大家畜研究室
  • 代表連絡先: Tel:0957-68-1135
  • 区分:九州沖縄農業・畜産・草地(家畜)
  • 分類:研究・参考

 

背景・ねらい

現在、生体時に肥育牛の肉質を判定する際は、超音波画像を人の目で見て判定している。
しかし、判定者の経験に基づくため、判定精度を高めるには熟練を要する。
そこで、客観的な判定を可能とするために、超音波診断装置で得られた画像をデジタル処理・解析し、精度の高い肉質判定手法の確立を目的とする。

成果の内容・特徴

  • 超音波画像のデジタル解析による牛枝肉形状および肉質(脂肪交雑)の判定を行うために、超音波画像をデジタルビデオテープで収集し、パソコンに保存、画像処理ソフトを用いて分析を行う必要がある(図1)。
  • デジタル処理した画像を移動平均フィルタ処理(画像毎の濃度値の変動を一様に平滑化する方法の一つ)することで、ロース芯の境目が判断しやすくなり、ロース芯面積の推定精度は高い(図2)。
  • デジタル処理した超音波画像のコマ毎(1コマ目と8コマ目)のロース芯内輝度差と、枝肉断面のロース芯内脂肪面積割合(デジタルカメラで撮影した枝肉断面画像のロース芯部分を2値化処理し、ロース芯内の脂肪面積割合を数値化した値)との関係は、2次曲線の回帰で示され、60%以上の寄与率となる(図3)。

成果の活用面・留意点

  • 超音波画像を用いた枝肉形状判定手法に活用できる。
  • 脂肪面積割合が少ない場合と多い場合の輝度差が同程度となることから、直接の肉質(脂肪交雑)判定は困難である。

具体的データ

 図1

図2

図3

 

その他

  • 研究課題名:超音波画像を用いた精度の高い肉質判定手法の確立
  • 予算区分:県単
  • 研究期間:2005~2007年度
  • 研究担当者:橋元大介、深川聡、川口貴之、大串正明