要約
規格外バレイショは、加熱の有無に関わらず糟糠類で水分調整しサイレージ化することで良好な発酵を示し、一時貯蔵が可能である。また、バレイショの加熱処理は、肥育豚用飼料の粗蛋白質および非繊維性炭水化物の消化率を改善し、糞中窒素排せつ量を低減できる。
- キーワード:バレイショ、サイレージ、加熱、消化率、肥育豚
- 担当:長崎農技セ・中小・環境研究室
- 代表連絡先: Tel:0957-68-1135
- 区分:九州沖縄農業・畜産・草地(家畜)
- 分類:研究・参考
背景・ねらい
規格外農産物は飼料利用が可能な食品残さの一つと思われるが、収穫期に大量に排出されること、また水分含量が高く貯蔵が難しいことから利用が進んでいない。バレイショの生産・流通段階において傷、過大、過小等の理由で廃棄されている規格外バレイショもその一つと考えられ、有効活用が望まれている。
そこで、規格外農産物を飼料利用するエコフィード体系のモデルとして、肥育豚へのリキッドフィーディング利用を前提に、バレイショの加熱による消化特性を把握する。
成果の内容・特徴
- バレイショサイレージの発酵品質は良好で、サイレージ調製前のバレイショの加熱の有無に関わらず、pHは4以下で、乳酸・酢酸含量が高く、酢酸以外のVFAは検出されない(表1)。
- バレイショを含む肥育豚用飼料の乾物、粗蛋白質および非繊維性炭水化物の消化率は、バレイショの加熱により改善される(表2)。
- バレイショの加熱により、粗蛋白質の消化率が10%以上向上することから、糞中窒素排せつ量(率)は低減される(表2、表3)。
成果の活用面・留意点
- 廃棄している規格外バレイショの有効活用に寄与する。
- 肥育豚用飼料の飼料設計に活用できる。
具体的データ
その他
- 研究課題名:低・未利用食品残さの高度利用技術の開発
- 予算区分:実用技術
- 研究期間:2008~2010年度
- 研究担当者:本多昭幸、嶋澤光一、大森英之(畜草研)、芦原茜(畜草研)、小橋有里(畜草研)、田島清(畜草研)、川島知之(畜草研)