要約
大型ハンマーナイフモアを使用することで10a当たり2時間で台切りを行うことが可能となり、地上10cmの高さで更新することで再生株率は高くなる。一番茶摘採後に台切り更新し、翌年の6月に地上高45cmの高さで初回せん枝を行うことで、更新4年後には中切りを行った場合より多収となる。
- キーワード:チャ、台切り、樹勢更新、大型ハンマーナイフモア、省力化
- 担当:熊本農研セ・球磨農業研
- 代表連絡先: Tel:0966-45-0470
- 区分:九州沖縄農業・茶業
- 分類:技術・普及
背景・ねらい
茶は昭和40年代頃から需要の拡大にあわせて栽培面積が増加したが、法定耐用年数の34年を過ぎた高樹齢の茶園が増加しており、生産力の低下した茶園が多くみられるようになった。
高樹齢化した茶園は通常抜根改植を行って茶園を作り直すが、近年茶の価格低迷により改植を行いにくい情勢となっている。また、茶樹の樹勢回復対策として台切りがあるが、以前の方法は手作業で行うため、労力の負担が大きい。さらに、台切りは通常3月に行うため一番茶が摘採できないなどのデメリットがある。そこで、摘採を行った後に省力的かつ早期に樹勢を回復させ、改植時期を一定期間延長する方法としての台切り更新法を確立する。
成果の内容・特徴
- 大型ハンマーナイフモア(写真1)を使用することで、今までの手作業による台切りに15時間/10aを要したのに対し、2時間/10aで可能となり、作業時間を短縮できる(表1)。
- 再生株率は、地上10cmの高さ(写真1)で行うことにより、一番茶摘採後の6月、二番茶摘採後の7月、秋整枝時期の10月、慣行時期の3月のいずれでも99%以上である(表1)。
- 台切りの時期は6月に行った場合が、7月、10月に行った場合に比べ、その後の収量の回復が早くなる(図1)。
- 台切り後の初回せん枝の高さについては、地上から30cmの高さよりも45cmで行うことで収量の回復が早まる。これはどの台切り時期でも同様の傾向である(図1)。
- 台切り後は、翌々年(更新2年後)の一番茶から摘採が可能である。また、更新3年後には中切りした場合と同等の収量まで回復し、4年後には中切りを行った場合より多収となる(図2)。
成果の活用面・留意点
- 本試験は樹齢37年生の「やぶきた」で台切りを行った結果である。
- 台切りは2回に分けて行い、1回目は地上から約20cmの高さで切除し、2回目は反対方向から10cmの高さで行った。
- 大型ハンマーナイフモアで台切りを行った場合、切り痕はささくれるが、地際付近から再生芽が出てくるため、株再生率には影響はない。
- 初回せん枝は、台切り更新処理1年後に行った。
- 肥培管理については更新当年は慣行施用量の50%、翌年以降は慣行どおりに行った。
具体的データ
その他
- 研究課題名:球磨地域における老朽化茶園更新技術の確立
- 予算区分:県単
- 研究期間:2005~2008年度
- 研究担当者:西澤法聖、小野亮太郎