九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

牧草矮性品種と杉バークを用い環境に配慮した幼木茶園の雑草管理技術

要約

幼木茶園においてうね間に牧草のペレニアルライグラスまたはトールフェスクの矮性品種を3月播種し、株元には杉バークを10cmの厚さで敷設する雑草管理は、茶樹の生育に影響を与えず雑草の生育を抑制できる。

  • キーワード:チャ、草生栽培、ペレニアルライグラス、トールフェスク、杉バーク、矮性品種、環境
  • 担当:熊本農研セ・茶業研究所
  • 代表連絡先: Tel:096-282-6851
  • 区分:九州沖縄農業・茶業
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

茶園では改植を必要とする園が増加しているが、新改植を行う場合、幼木園において繁茂する雑草に対する除草作業が農家にとって大きな負担となっている。一方、除草剤の使用は省力的であるものの茶樹や環境への影響が懸念される。そこで、幼木茶園における環境に配慮した効率的な雑草管理技術を開発する。

成果の内容・特徴

  • 茶株元に杉バークを10cmの厚さで敷設した場合、株元での雑草の繁茂は慣行の黒マルチ被覆よりもやや多いが、幼木の樹高および株張りは同等である(表1)。
  • ペレニアルライグラスまたはトールフェスクを播種する草生栽培では、雑草の抑制効果は杉バークと同等であるが、幼木の樹高が低く株張りも劣る(表1)。
  • 幼木園のうね間に矮性の牧草であるペレニアルライグラスまたはトールフェスクを播種すると、無除草に比べてうね間でのイネ科雑草の発生は低く抑えられる(写真1、図1、表2)。
  • 株元に杉バーク10cmで敷設し、うね間にペレニアルライグラスまたはトールフェスクを用いて草生栽培を行う雑草管理は、株元を黒マルチで被覆し、うね間を人力による手取り除草する慣行除草に比べ雑草繁茂はやや多いが、幼木の生育は同等である(表2)。

成果の活用面・留意点

  • 新改植を行う園で利用できる。
  • 牧草の矮性品種として、ペレニアルライグラスは「ビクセン」、トールフェスクは「インフェルノ」を用い、毎年3月にうね間に50~60g/m2の播種量で播種する。
  • 土壌のpHは牧草の生育に影響しやすいため、播種前に土壌診断を実施し土壌診断基準値(pH:4~5)に保つ必要がある。
  • バークは杉皮を太さ0.5~2mm程度に粉砕し、綿状になったものを使用している。

具体的データ

 表1

写真1

図1

表2

その他

  • 研究課題名:新改植園における幼木期管理労力削減のための草生栽培技術の開発
  • 予算区分:県単
  • 研究期間:2006~2008年度
  • 研究担当者:緒方伸吾、西澤法聖