九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

廃食油をA重油に混合した油のハウス加温機における燃焼特性

要約

廃食油をA重油に混合した油は、廃食油の割合が高くなるほど動粘度が高く、比重がやや大きく、総発熱量がやや小さくなる。廃食油の混合割合が20%までであれば着火および燃焼が安定し、施設園芸用のA重油加温機に適用できる。

  • キーワード:廃食油、A重油、加温機、節減効果
  • 担当:佐賀農業セ・野菜花き部・野菜育種研究担当
  • 代表連絡先: Tel:0952-45-2141
  • 区分:九州沖縄農業・野菜・花き
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

近年、施設園芸では、原油価格の高騰により、燃料費の負担が増大し、農家の経営を圧迫している。このような中、一般家庭あるいは飲食関係の事業所より排出される廃食油は、BDFにしてディーゼルエンジン用燃料に利用する他、重油と混合して重油ボイラーの燃料として利用できる可能性が示唆されている。そこで、農家の燃料費負担の軽減を目的に、廃食油とA重油を混合した油の燃焼特性を把握し、利用の可能性を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • A重油に廃食油を混合した油の動粘度は、廃食油の混合割合が高くなるのに伴って高くなり、80%の混合比率までA重油のJIS規格である20[(50°C)mm2/s{cSt}]以下に収まる(図1)。
  • 各混合油の比重は、廃食油の混合割合が高くなるのに伴ってやや大きくなり、一方、1kg当たりの総発熱量は、廃食油の混合割合が高くなるのに伴ってやや少なくなる(表1)。
  • 昼間に30分間の連続運転を行った場合、廃食油の混合割合が40%まで着火および燃焼が安定している(表2)。
  • 実栽培を想定した夜間の不連続運転(12°C設定でON-OFF運転)では、廃食油の混合割合が20%まで着火および燃焼が安定しており、いずれの混合油もA重油並のハウス内温度を確保できる(表2)。
  • 由来の異なる廃食油を用いても、廃食油の混合割合が20%まで着火および燃焼が安定している(表3)。

成果の活用面・留意点

  • 本試験で用いた廃食油は、No.2濾紙で濾過し、A重油との撹拌を混合時のみ行って使用した。
  • 供試ビニルハウスは、間口6m×長さ10mを使用した。
  • ハウス加温機は、A重油仕様のT社製ハウスマンNHM150[燃料消費量6.5L/hr(カタログ値)]を使用した。

具体的データ

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表1

表2

表3

その他

  • 研究課題名:施設野菜栽培における省エネルギー化技術の開発
  • 予算区分:県単
  • 研究期間:2006~2008年度
  • 研究担当者:木下剛仁、石橋泰之、中山裕介、徳永敦子、豆田和浩