九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

木質ペレット暖房機の温度制御と燃料費削減率試算

要約

木質ペレット暖房機の制御温度幅は3~4°C程度で重油暖房機に比べやや広いが、変温防止機能により小さくなり、温度制御精度が向上する。木質ペレット(単価36円/kg)使用による燃料費削減効果は、重油単価85円/Lで1割、97円/Lで2割である。

  • キーワード:木質ペレット暖房機、制御温度、燃料費
  • 担当:佐賀上場営農セ・畑作経営研究担当
  • 代表連絡先: Tel:0955-82-1930
  • 区分:九州沖縄農業・野菜・花き
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

施設園芸では、原油高騰により暖房経費や生産資材費が増加し、農家経営を圧迫しているため、中長期的な視点から脱石油・省エネ対策の構築が課題となっている。ポスト石油対策として、森林資源を利用したバイオマスエネルギーである木質ペレットが注目されており、カーボンニュートラルであることから地球温暖化対策にも貢献できる。そこで、近年開発された木質ペレット暖房機の加温特性や経済性について検討する。

成果の内容・特徴

  • 木質ペレット暖房機運転中(温度設定は12°C、点火11.5°C、消火13.5°C、温度幅2°C)のハウス内温度は約3~4°Cの幅で推移する(図1)。
  • 変温防止機能(ハウス内の制御温度を設定値に近づけるために、自動的に暖房機の着火・消火温度を制御する機能)を作動させることで、-1~2°Cの外気温の場合ハウス内温度幅が3.2°Cから2.3°Cへ改善する(図1、図2)。
  • 木質ペレット暖房機(木質ペレット+灯油)の燃料費は、重油暖房機(重油)と比較すると、木質ペレットの単価が36円/kgの場合、重油単価が約76円/Lで同程度となり、それより高い85円/Lの場合は1割削減、97円/Lの場合は2割削減となる(図3)。
  • 木質ペレット暖房機を用いた促成トマトの生育・収量は、重油暖房機を用いた場合と比べて差がない(データ略)。

成果の活用面・留意点

  • 木質ペレット暖房機は、N社製PHK2000(5万kcal)(燃料:着火用灯油とホワイトペレット)を使用し、丸屋根式鉄骨2連棟ハウス(間口16m、長さ20m、面積320m2)でトマトを栽培して得られた成果である(写真1)。
  • 木質ペレットの活用を進めるためには、低価格な木質ペレットの安定的な供給システムが必要である。
  • 木質ペレット暖房機は、燃焼量の0.46%の灰(ホワイトペレット使用時)が発生するので、燃焼50~100時間毎に灰出しを実施する必要がある(ペレットの種類で異なる)。
  • 変温防止機能は、暖房機の機種によって装備していないものもある。

具体的データ

 図1

図2

図3

写真1

その他

  • 研究課題名:木質ペレット暖房機を活用したハウス加温技術の開発
  • 予算区分:県単
  • 研究期間:2007~2010年度
  • 研究担当者:石橋哲也、中山敏文、浦田貴子、富永慧