堆肥脱臭では冬期には外気温の低下に伴い塩ビ配管内や脱臭槽床面の通気配管で結露水が発生し、システム上の問題となる。当初、結露水は水中ポンプを利用して回収する構造であったが、考案した結露水回収構造は床面配管に溜まった結露水を低コストに回収するもので、全く余分な電気を使わずに回収できる構造とすることができた。 構造は塩ビ配管キャップに直管継ぎ手を塩ビ溶接しVP13塩ビ直管を差し込むだけなので、構造的に単純であり低コストで容易に設置することができる。本考案によって回収した結露水(アンモニア濃度800~1000ppm)は液肥としての有効利用も可能で、環境保全型農業に資するものである。
本結露水回収構造は電気を必要とせず、構造も簡単なものである。さらに比較的安価に施工することができることから、堆肥脱臭システムを取り入れた堆肥センターに既に導入され、実際の現場に普及し役立っている。
導入実績としては家畜排泄物堆肥化施設では熊本県の石井牧場堆肥舎、山鹿市バイオマスセンター、合志バイオX堆肥センター、茨城県全農堆肥センター、また生ゴミ堆肥化施設では福岡県大牟田市共栄環境開発等がある。
また、本創意工夫で考案された構造を利用した堆肥舎が、中華人民共和国北京市の養豚農家にも導入されている。
図1 考案した通気配管内結露水回収構造
写真1 結露水回収部(拡大図)
写真2 結露水排出部構造