金属製のフレームおよびコンパネを使用した組み立て式簡易水槽と、塩化ビニール製管に土壌を充填し、耐湿性を検定する作物を播種して水槽内で栽培する技術、さらに、簡易水槽に観賞魚用の水位調節装置、予備タンク、フロートを利用し作成した自動的に水位を保つシステムを考案し、これらのシステムを組み合わせることで簡易に作物の耐湿性検定が行えるシステムを作成しました。
今回考案した、作物の簡易耐湿性検定システムにより、1回1水槽につき64個体の耐湿性検定が可能になりました。根の調査も、堀取り、洗浄に時間がかかり、1日に数個体しか調査できませんでしたが、このシステムにより、1日あたり30個体の調査ができるようになり、作業効率が大幅に向上しました。これまで、飼料用大麦、燕麦、飼料用トウモロコシ、ソルガム、イタリアンライグラス等の多数の飼料作物の耐湿性解明に役立っています。本システムを利用して得られた研究成果は研究会などで発表されており、飼料作物のみならず、他の作物にも適用可能ですので、利用場面はさらに広がっていくものと期待しています。
写真1 考案したシステムによる試験の様子
8×8 で64個体の検定が可能
写写真2 根部の塩ビ管が倒れないようにする仕組み
コンパクトな簡易水槽で根の長い作物を効率的に検定できます。
写真3 土壌を充填した塩ビ管を並べた様子
(試作段階なので 6×5 の30個体用)
写真4 試験期間中の水位を一定にする装置
作成した1つの水槽で支柱枠内で30個体、枠外で2個体を試験できます。
水位の調節も容易になるように工夫しています。
写真5 塩ビ管からの根部取り出し
写真6 根部の取り出し失敗例
根部を調査するため塩ビ管からきれいに取り出す必要があります。
そのため、塩ビ管の内側にシートを入れました。
写真7 いろいろなシートによる試験
写真8 除草シートが最適でした
写真9 取り出した地下部の洗浄
写真10 本システムを利用した根の調査例