果樹茶業研究部門

果樹の災害対策集

8.海水が入った圃場で改植する場合の注意事項(施肥法などについても)が知りたい

海水が入った圃場では、一般に土壌中のナトリウム、マグネシウム、塩素、硫酸根などが増加している。これらの塩類はカンキツのQ7の要領で洗除しておく必要がある。改植前には、土壌診断を行って土壌酸度、塩基組成、電気伝導度、塩素濃度などを調べたうえで、必要があれば石灰質資材、リン酸質資材、有機質資材などを施用して土壌改良を実施する。特に幼木期に根群が接触する植え穴土壌については、塩分が下層土に多量に残っていないことを確認する。掘り上げた土壌には、有機質資材とともに成園では下層土に入れにくい石灰質資材(炭カルなど)やリン酸質資材(熔リンなど)を混和施用する。栽植に当たっての一般的な注意事項は、カンキツのQ10の項を参照されたい。施肥法も一般的な幼木の施肥管理でよいと考えられるが、下層土に塩分が残っている場合には夏期乾燥時の土面蒸発に伴う毛管上昇で表層土壌へ移行してくることが考えられるので、樹冠下部の敷き藁や潅水を行って乾燥防止に努めるとともに、肥焼けによる根傷みを防止する意味から速効性肥料よりも緩効性肥料(有機配合など)を用いたほうが良い。

(2022年12月 再確認)