
肉用家畜研究領域では、我が国で合計2.5兆円を超える産出額(農林水産省「令和6年農業総産出額(全国)」)となっている肉用牛、豚、鶏の3畜種を対象として、「飼料利用性の向上」を主要テーマに研究を行っています。経営コストに占める飼料費の割合は、肉用牛で約4割、肥育豚で約7割、養鶏で約6割と非常に高く、最近の飼料価格の高騰・高止まりから飼料の効率的な利用すなわち飼料費の低減は畜産経営にとって重要な課題です。加えて、今後の温暖化の進行により、家畜の成長は今より鈍化して飼料利用性も低下すると考えられ、対策が必要です。これまで、肉用家畜は成長性、産肉性や肉質などを特に重視して育種改良や飼養管理の改善が行われてきましたが、経営コスト削減のためには、現在の成長性や肉質を担保・向上しつつ、飼料利用性をさらに高めることが重要です。また、飼料利用性の向上は経営的なメリットを産むだけでなく、海外からの濃厚飼料輸送に伴う二酸化炭素や、家畜生体からのメタン、家畜ふん尿からの一酸化二窒素といった温室効果ガスの排出削減にも貢献します。このような背景から、肉用家畜研究領域では、育種改良面、飼養管理面の両方から「飼料利用性の向上」のための研究に取り組むとともに、飼料利用性の向上が肉等の生産物の品質に及ぼす影響の検証を行っています。
また、わが国固有の地鶏等の家禽では、牛や豚のように受精卵を凍結保存することができません。そこで、家禽遺伝資源を将来にわたって有効利用するため、精子や卵のもととなる始原生殖細胞を効率的に凍結保存し個体復元するための研究を実施しています。
さらに、肉用家畜研究領域では、家畜・家禽の成長過程等に応じた適正な養分要求量を示す畜種ごとの「日本飼養標準」や、飼料の栄養価を示した「日本標準飼料成分表」の編纂(改訂)を農研機構内の関係部署や農林水産省、公設試、大学、民間企業等と連携して行っています。


