農村工学研究部門

農村工学研究部門メールマガジン

メールマガジン第21号(2011年12月号)

今年一年、ご愛読いただき誠にありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願いいたします。

東日本大震災の復旧・復興支援状況については、ホームページに開設した特設サイトでお知らせしています。

目次

1)トピックス

■タイ国で発生した大洪水の緊急現地調査報告

チャオプラヤ川流域では毎年のように洪水が発生しますが、今年は50年に1度の大洪水だと言われています。下流の低地に位置する工業地帯やバンコク市内にも水が迫ってきたことから、日本でも大きく報道されました。そのため、農工研から3名の研究者が緊急現地調査を行いましたので、その概要を報告します。

資源循環工学研究領域 水資源工学担当研究員 皆川裕樹

(説明資料)

■カンボジア国で発生した大洪水の現地報告

在カンボジア国 日本大使館 杉山裕秀 様
水資源気象省・JICA個別派遣専門家 平岩昌彦 様
水資源気象省・JICA灌漑技術センター(TSC3) 長井薫 様

タイの洪水被害が日本で大きく報じられる中、隣国カンボジアでも西暦2000年以来の大洪水に見舞われました。政府の発表によると247人が死亡し、死滅した水稲栽培面積(232千ha)は全作付面積の10分の1、また、水田被害面積は全水田面積の17%に及び、道路などの施設損壊も甚大です。

12月に入って漸く水位が低下し、減水農業による稲の直播栽培も始まりました。洪水で被災した貧困農民には水稲種子が提供されるなど、各種の支援策によって農民の生産活動は徐々に戻りつつあります。

11月27日と12月8日に、Kandal州およびPrey Veng州において、TSC3 Project主催で農民Workshopを開催したところ、農民からかんがい排水施設の深刻な被害実態が報告されました。農業水利施設機能の早期復旧は待ったなしです。

(説明資料)

2)イベントのご案内

■TXテクノロジー・ショーケース in つくば 2012に出展

  • 2012年1月13日(金曜日)
  • つくば国際会議場〒305-0032 つくば市竹園2-20-3
  • 出展:放射性物質に汚染された農地土壌の効率的な除去方法
  • 発表:水田高度利用担当原口上席、若杉主研、瑞慶村研究員
  • チラシ:http://www.science-academy.jp/pdf/sat11showcase-flier.pdf

3)水土里のささやき

■Forever Lucky Beach -岩手県大船渡市三陸町吉浜-

菊地耕悦 様(吉浜農地復興委員会事務局、大船渡市議会議員)

アメリカの新聞USA TODAYは、吉浜のことを「'Lucky Beach'livesup to its name(吉浜はその名に恥じずラッキービーチ)」として紹介しています。しかし、吉浜は単に"Lucky"だったわけではありません。(続く)

(聞き手:農村基盤研究領域 地域計画担当上席研究員 福与徳文)

(全文)

4)最新の「農工研ニュース」より<新技術の紹介>

■断水が困難な水路トンネルの変状調査手法

この研究開発は、農工研が装置の基本設計と調査に必要な性能の検討及び実験による照査を、民間企業が装置の製作と現地実証試験を役割分担しました。

本装置は、水路トンネルを管理している国、地方自治体や、機能診断業務を請け負うコンサルタントなどに活用して頂きたいと考えています。また、地震で水路トンネルが被災した可能性がある時でも、人力に頼らず安全に調査することができます。詳細はお問い合わせ下さい。

施設工学研究領域 施設機能担当主任研究員 森充広

(関連資料)

5)農村工学研究所の動き

■震災復興支援技術講習会・相談会を岩手県で開催

12月6日、いわて県民情報交流センター「アイーナ」(盛岡市)において開催し、地元岩手県をはじめ、東北農政局管内などから農業農村関係の技術者105名にお越し頂きました。

ポスターセッションの形式で、3つの研究機関から震災復興に役立つ23件の実用技術を紹介。また、会場に技術相談のコーナーを設け、農地の除塩や農地に残る微細ガレキの除去などについて具体的な情報を提供しました。参加者に好評であったことから、このような取り組みを今後とも続けて参ります。

技術移転センター 移転推進室長 丸茂伸樹

■震災復興支援シンポジウムを宮城県で開催

12月7日、東北大学の川内萩ホール(仙台市)において、農研機構と東北大学の主催で開催し、全国各地から425名の方々が来場されました。

東北大学大学院両角和夫教授から、農林漁業・工業等の業態を超えて地域の資源を利用する「循環型流域経済圏構想」が提案されました。また、農研機構からは、農地を津波減勢域としても利用する復旧対策(農工研)、除塩等の復旧対策(東北研)、平坦部水田地帯の復旧対策(中央研)、施設野菜生産の復旧対策(野茶研)、消費者と実需者が求める農産加工品技術(食総研)を紹介しました。

ご希望の方にはシンポ資料を提供いたします。
企画管理部 業務推進室 主任研究員 芦田敏文
(連絡先)nkk-kikaku◎naro.affrc.go.jp
※メールを送信する際は「◎」を「@」にしてください

6)こんにちは農業農村

■中国の農業施設 -何もかもが巨大-

11月21日から25日にかけて、中国の山東省、天津、北京における農業施設を視察しました。今回訪れた山東省は、中国有数の野菜生産地として知られています。地平線まで温室で埋め尽くされている光景を目の当たりにし、スケールの大きさに驚きました。それを支える技術は、中国独自の進化を遂げていました。

農地基盤工学研究領域
農業施設工学担当主任研究員 森山英樹

(写真資料)

7)農村の草花

■寒い時期から小さな可憐な花をつける -ノミノフスマ-

冬が訪れた刈り田には、一見、咲いている花など何もないように見えます。しかし、よく見ると、地表近くに咲く「ノミノフスマ」を見つけることができるかもしれません。この小さな花の名前の由来をご存じでしょうか。また、ノミノフスマの白い花びら、はたして何枚と数えることができるでしょうか。

農村基盤研究領域 資源評価担当主任研究員 嶺田拓也

(関連資料)

8)研究者の横顔

■亀山幸司(かめやまこうじ)

今回紹介するのは、優しい笑顔が素敵な畑地工学担当の亀山幸司さんです。北海道の広大な畑を見ながら育ち、現在も畑地土壌の改良技術に関わる研究に取り組んでおられるという「畑の申し子」です。旅行がお好きなようで、結構マニアックな場所にも行かれているようですので、今度、詳しいお話を聞いてみたいと思います。
(他己紹介:栗田英治)

(自己紹介)

【編集発行】

〒305-8609 茨城県つくば市観音台2-1-6
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所
企画管理部 情報広報課 Tel:029-838-8169