東北農業研究センター

大豆の有芯部分耕栽培

(1) 有芯部分耕栽培技術の特徴

大豆は根粒菌を着生することもあって土壌水分の影響を受けやすい作物ですが、水稲後作の大豆作では生育期間中の土壌水分の変動が大きく、湿害や乾燥害に対応した栽培法の確立が重要となります。「有芯部分耕栽培」は、市販ロータリの爪の除去や付け替えにより乾燥害や湿害を軽減することを目的としています。本技術は、以下の特徴があります。

市販ロータリの播種床に位置する部分の爪を除去して、播種床(幅約20cm)を不耕起とすることで、畝間耕起部の排水促進により湿害を軽減するとともに、不耕起部の保水により乾燥害を軽減します。

水稲後の転換畑初年目の不耕起条件で、耕起と施肥・播種を同時作業で実施するために総作業時間の短縮につながります

事前耕起を行う慣行法と播種作業速度のみで比較すると有芯部分耕の作業速度は劣りますが、逆転ロータリを用いることで高速化が可能となります。

(2)有芯部分耕作業機

有芯部分耕作業機の概略図市販ロータリの播種床に位置する部分の爪を除去して、播種床(幅約20cm)を不耕起とします。不耕起部上に播種され、条間の耕起土壌で覆土されます。播種機や施肥機は市販機をそのまま使用します。圃場耕耘イメージ図

(3) 有芯部分耕の作業体系

ロータリーの写真一般栽培との作業体系の違いは、水稲後作の不耕起条件で耕起同時播種を行う点です。慣行栽培では播種までに事前の耕起を複数回行いますが、本栽培法では事前耕起を行わず一工程で耕起同時播種を行います。条間は70~75cmの条件で検討を行っています。なお、播種後の管理は一般栽培と同様です。また、条間を耕起しているため、中耕培土が可能です。

(4) 有芯部分耕栽培における生育・収量

播種一ヶ月後の写真開花期の写真 収量比較グラフ

これまでに、有芯部分耕栽培により不耕起部分の土壌水分の変動が小さくなり(乾燥時含水率大、湿潤時含水率小)、開花期まで大豆の生育が旺盛になるとともに、増収が期待できることが確認されています。

(5) 現地実証試験の事例

秋田県大仙市(作成中)

岩手県奥州市(作成中)

(6) 耕起・播種法の現地実証試験の申し込み

大豆有芯部分耕播種による作付け希望がある場合は、以下にご連絡ください。対応の可否等については、ご相談させていただきます。

お申し込み先

産学官連携支援センター
Tel 019-643-3402
メール T-sangakurenkei@ml.affrc.go.jp
※メール本文に必要事項を記載して送信してください。
メールへの記載項目は以下のとおりです。
機関名、氏名、住所、電話、Fax、現有の作業機(ロータリ種類、トラクタ)、大豆栽培条件(品種、条間等)

(7) 開発技術者への問い合わせ

東北農業研究センター東北水田輪作研究チーム吉永悟志

(8) 関連情報

平成16年度東北農業研究成果情報
市販ロータリを用いた有芯部分耕による転換畑大豆作の収量性向上

農業および園芸
大豆の有芯部分耕栽培、81(5)、606-611:2006

農業技術体系
転換畑大豆作における有芯部分耕栽培、技204の76-81:2006