東北農業研究センター

お米のよくある質問集

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どうやって、品種改良をするのですか?

よりよい性質をもったイネの品種をつくるために、品種改良は行われます。その手順は、以下の3つにわけられます。

1. 交配(こうはい)

イネの品種は、「あきたこまち」の種をまけば「あきたこまち」ができるように、親と子供が同じなのがふつうです。それは、イネの花の中で「あきたこまち」のめしべに「あきたこまち」の花粉が自然にかかっているからなのです。

品種改良は、親よりも良い性質をもったイネを作るために、ある品種のめしべに別の品種の花粉をかけあわせることからスタートします。このように、人の手で花粉をめしべにかけることを『交配(こうはい)』といいます。

たとえば、食べておいしい品種Aを、おいしくてたくさんとれるように品種改良したい場合、品種Aのめしべにたくさんとれる品種Bの花粉をかけて交配を行います。このとき、品種Aのめしべに自分の花粉が自然にかかってしまわないように、花の中から品種Aのおしべ(花粉)を前もって取りのぞいておきます。

2. 選抜(せんばつ)

交配でできた種は、両親の良いところも悪いところもいろいろ持っています。その種をまいて育てたイネにはたくさんの種がみのります(1粒の種から約1,200粒の種ができます)。これらの種は、1つ1つが少しずつちがう兄弟になっています。たとえば、草丈の大きいもの、小さいもの、食べておいしいもの、まずいもの、たくさんとれるもの、少ししかとれないものなど、それぞれ性質が少しづつ違っています。

これらのたくさんの兄弟の中から(ふつうは、数千くらい)、品種改良したい目標に合うものを選んでいきます。この作業を『選抜(せんばつ)』といいます。おいしくてたくさんとれるように品種改良したい場合には、数千の兄弟の中からおいしそうで(それぞれを食べるわけにはいかないので、実際には米のおいしさと関係がある成分を調べたりします)、たくさんとれそうな(実がついている穂(ほ)が大きいもの、もみの粒が大きいものなど)ものを選抜します。

3. 固定(こてい)

選抜したイネの種を育てると、またいろいろな性質の兄弟の種がみのります。ただし、これらの兄弟は一度選抜しているので、兄弟がみんなたくさんとれる性質になっていたりします。これらの中から、おいしそうなもの、一番たくさんとれそうなものを選抜します。そして、また選抜したイネの種を育てて、目標にかなったものを選抜していきます。

これをくり返していくうちに、選抜したイネの種を育てても、もとの親と変わらないようになってきます。このように子どもが親と変わらないようになることを『固定(こてい)』するといいます。ふつう固定させるまでには、交配してから選抜を6回~8回行わなければなりません。

では、なぜ固定させるかというと、固定していないと種をまいて育てても親とちがうイネになってしまうからです。「あきたこまち」の種をまいて育てたら、「あきたこまち」とはちがうものができてしまったら大変ですよね。このように、固定してはじめて品種になる条件をクリアーしたといえるのです。

ただし、せっかく長い年月をかけて固定しても、そのイネがおいしくてたくさんとれるという目標どおりになっていなければ、残念ですがすててしまいます。品種改良の目標どおりのものができたときには、品種として認められます。

交配をしてもその子どもたちから目標のイネが出てこなくて、品種がひとつも作られないこともあります。むしろ、品種が作られない場合が多いのです。ですから、私たちは毎年いろいろな種類の交配をして、目標のイネが作られるようにがんばっています。