東北農業研究センター

お米のよくある質問集

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品種改良はどれくらい早くできるようになりましたか?

本格的な品種改良が始まった明治時代から、科学技術が少しずつ進歩して品種改良に必要な時間も短くなりました。

「交配」を使った品種改良では、必ず「固定」をしなければなりません。しかしこの「固定」をするのには、親を交配してから7~8回イネをくりかえし育て、種を取らなければなりません。しかしふつうイネは1年に1回しか育てられません。そのために「固定」を行うだけで7~8年もかかってしまいます。

そこで登場したのが「世代促進技術(せだいそくしんぎじゅつ)」という技術です。この技術は、温室や暖かい場所などでイネを1年間に2~3回栽培して種を取るという技術です。この技術によって約3年、品種改良に必要な時間を減らすことができました。

しかし、世代促進技術をつかっても、「固定」を行うのには数年かかります。そこで、「固定」の作業を必要としない「葯培養(やくばいよう)」などのバイオテクノロジーが登場しました。この技術を使うことで、さらに品種改良に必要な時間を短くすることが可能になりました。ただ遺伝子組み換えは難しい技術なので、現在は品種改良にはあまり使われていません。

しかし、新しい優れたイネを選抜して「固定」をしても、実際に品種になるまでには、さらに2~3年必要です。なぜならば、品種改良は試験場で行われているため、その新しいイネは試験場の田んぼでしか育ったことがないからです。

だから、本当に優れた品種かどうかは、試験場以外の地域や都道府県に新しいイネを栽培してもらい確かめてもらう必要があります。そして、本当に優れたイネとして認められたとき、新しい品種になれるのです。

とても長い道のりですね。

現在、使われている品種改良の方法は「交配育種法」がほとんどです。そして、交配をしてから品種になるまでは少なくても7~8年くらいはかかります。

ですから、交配を行うとき7~8年後、またはそれ以上先の時代に、どのような品種が必要になるのかを予想して交配をしなければなりません。この予想には、とても気をつかいます。