気候変動対応研究分野「モンスーンアジア農業の気候変動対応を先導する研究拠点をめざして」

1.海外評価者による研究レビュー

農研機構の気候変動対応研究分野では、顕在化する気候変動の農業影響に対応するため、農地からの温室効果ガス排出の削減技術の開発やインベントリの精緻化、気候変化に対する作物応答の解明に基づく将来影響の広域評価、高解像度気象データの提供を中核とする適応技術の開発などを進めてきました。また、MARCO(モンスーンアジア農業環境研究コンソーシアム)を通したアジア各国の研究機関との連携や、IPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)を始めとする様々な枠組みを通した国際貢献にも積極的に取組んできました。
海外評価者による研究レビューでは、これらの研究や国際的な取組のなかから、温暖化の緩和、気候変動の影響評価、気候変動への適応に関する研究課題7題を選定し、モンスーンアジア農業の気候変動対応研究を先導する研究拠点を目指した中長期的な研究戦略と推進方策について、海外の専門家による評価と助言を得るために海外評価者による研究レビューを行いました。

研究レビューの様子

2.開催日時

3.開催場所

農林水産省農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センター

4.評価者

  • Dr. Leocadio S. Sebastian
    IRRI-CCAFS東南アジア拠点(ベトナム)
  • Prof. Xiaoyuan Yan
    中国科学院南京土壌研究所(中国)
  • Dr. David Makowski
    国立農学研究所(フランス)
  • Dr. Byong-Lyol Lee
    前世界気象機関(スイス)

5.評価方法

第3及び4期中長期目標期間(平成23年度~平成32年度)を対象に、得られた研究成果の質並びに現在及び将来的な社会的利益のための研究成果の政策、国際協力、農業及び産業への適用性について、国際的な観点から評価を実施しました。
評価ランクは、S:質が非常に高く、修正の必要がない、A:質が高く、修正必要箇所はごく一部、B:一定の質は確保されており、修正必要箇所はごく一部、C:一定の質は確保されているが、大幅な修正が必要、D:質が悪く、計画を再度作成し直す必要ありの5段階に区分し、構成要素の7つの研究課題について評定とコメントや提案を頂きました。また、テーマ全体についてもコメントと提案を頂きました。

6.課題一覧

本テーマは、以下の7つの研究課題から構成されています。

第1部 農地における温暖化の緩和

  • 課題1 農地土壌からの温室効果ガス排出・吸収量の全国評価
  • 課題2 農地からの温室効果ガス排出削減技術
  • 課題3 温暖化緩和技術のモンスーンアジアへの展開と国際連携

第2部 作物生産における気候変動の影響評価

  • 課題4 イネの高温・高CO2応答機構:実験的評価とモデル化
  • 課題5 主要作物生産への気候変動影響の国内及びグローバル規模での評価

第3部 農業における気候変動への適応

  • 課題6 日本の作物生産における温暖化適応策の開発と実践
  • 課題7 高解像度気象データの活用による気候変動リスク軽減のための栽培管理支援システムの開発

なお、農研機構で実施している気候変動対応研究を広く紹介するため、今回評価対象の課題としては取り上げなかった研究課題について、昼食時にポスターセッションを行いました。

7.評価結果及び指摘に対する回答

4人の評価者による評価結果及び指摘事項等に対する回答 【PDF:485KB】