重大労災事故を踏まえた労働安全対策の強化について

令和5年10月
農研機構

令和4年12月1日午前、つくば研究拠点池の台事業場・畜産研究部門において、種雄牛の誘導・係留作業中に種雄牛が職員に対して加害し、職員が死亡する重大労災事故が発生しました。農研機構では、家畜の飼養管理業務を行っている事業場において、事業場安全作業手順書に沿った作業の徹底など、労働安全対策を講じてきたところですが、今般の事故を受け、このような事故を二度と起こさないために、これまでの労働安全の取組について、有識者の意見も聴取しつつ、徹底して検証し、以下のとおり見直しを図りました。

1. 牛等の飼養管理業務に関する労働安全対策の見直し

  • 牛等の飼養管理作業を行う全事業場で緊急点検を実施し、標準安全作業手順書が不足する作業については、直ちに拡充整備する。また、標準安全作業手順書を基にして、事業場の状況に応じた事業場安全作業手順書を拡充整備する。
  • 暴れることが想定される牛等の誘導作業は、職員が複数で行うことを徹底する。また、複数での誘導作業が難しい場合は、見える範囲に人員を配置すること、気性の荒い牛には個体識別ができるマーカー等を付けることなどを安全作業手順書に記載し、徹底を図る。
  • ヘルメットなど保護具の装着・着用の基準を定め、着用を義務づけるとともに、このことを「標準安全作業手順書」や「事業場安全作業手順書」に明記し、装着の徹底を図る。
  • 班長等が作業前にミーティングを行う朝会を新たに設置し、作業に必要となる要員配置の調整を行う体制を整備する。要員配置の調整が困難な場合は、研究部門と協議の上、作業の中止・延期を含め見直す。家畜飼養管理上の懸案事項や作業安全に係るリスク等の情報は、安全衛生管理の責任者等へ報告を行う体制とする。
  • 牛等の逸走の可能性について、飼養管理作業を行う全事業場で緊急点検を実施し、逃亡防止柵等の改修など具体的対策を講じる。
  • 家畜飼養管理等を行っている他機関と、飼養管理における安全確保の取組み等に関する意見交換や職員研修などを実施する。

2. 重大労災事故の未然防止のための農研機構全体の取組み

  • 全員参加の作業開始前ミーティングの開催を徹底し、安全作業手順書等に基づき、保護具の装着・着用を確認するとともに、労働災害や事故の原因となる可能性のある不安全行動や不安全状態について確認する。
  • 全組織でリスクの洗い出しを行うとともに、過去数か年の労働災害に基づく安全作業手順書の整備状況を点検し、必要なものを速やかに整備する。また、安全作業手順書の重要性について、全職員で意見交換などにより理解を深める。
  • 技術支援部では新たに「安全パトロール」を導入し、安全作業手順書に則した作業が行われているか点検を行う。また、設備や機械等の点検のために実施している職場巡視の際にも、安全作業手順書等で示されたルールの遵守状況や不安全行動の有無などの項目を追加し、点検する。
  • 全職員を対象とした危険予知能力養成研修を行う。
  • 総務部安全衛生管理課の人員や権限を強化し、一層のリーダーシップをもって各管理部を支援・指導する体制とする。
  • 事故のあった12月1日を農研機構の「安全を誓う日」とし、労働安全対策の徹底のみならず、職員の安全意識の高揚につながる取組みを行う。

上記労働安全対策は、すでに着手しているものも含め、着実に実施するとともに、実施状況について毎年検証を行うものとする。