令和6年能登半島地震における農業被害の 復旧・復興からの参考技術情報

耐塩性が強く茎葉が多収な稲発酵粗飼料用品種「ソルトスター」の活用

  • 震災で発生した津波の被害を受けた農地では、海水の影響が残りイネの生育障害が発生することがあります。また、令和6年能登半島地震による津波被災地域では、畜産が行われており、茎葉の割合の高い稲発酵粗飼料用品種が利用できます。そこで、本資料では、海水の影響が残る農地で農業を再開(飼料用)するために、耐塩性が強く、茎葉を主体とする稲発酵粗飼料用の品種「ソルトスター」を紹介します。
  • 「ソルトスター」は耐塩性が強く、極晩生です。稈長が128cmと極長稈で、耐倒伏性は「リーフスター」より弱い"中"です(表1、写真1)。地上部乾物収量が「リーフスター」に比べて育成地(茨城県)で15%程度多収です。消化されやすい茎葉の割合が高く、稲発酵粗飼料に適しています。サイレージの作り方から給餌までの利用体系は従来品種と同じです。汎用性の高い機械等で対応可能です。また、収穫物については、畜産経営者等と事前にご相談いただき、計画的な作付けをご検討ください。

表1 「ソルトスター」の特性概要

写真1 「ソルトスター」の耐塩性
海水(1/10濃度)溶液を添加。「たちすがた」の耐塩性は"やや弱"(左ポット)、「ソルトスター」は"極強~強"(右ポット)、「ソルトスターの兄弟系統」(中央ポット)。

(種子の入手)農研機構のウエブサイト「品種の利用方法」から申請することで、購入が可能です。
https://www.naro.go.jp/collab/breed/breed_exploit/index.html

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