なろりん、お山の上の農場を訪ねるの巻
お天気: くもり時々雨
こんにちは なろりんです♪
気の向くままに全国にある農研機構の研究センターを巡って紹介しています。
68回目のなろりんリポート、略して「なろリポ」です。
今回は、長崎県雲仙市にある「種苗管理センター雲仙農場」を訪ねたよ。
種苗管理センターは、新品種登録のための栽培試験、流通している野菜・花などの種や苗に関するさまざまな検査、種苗の生産・配布、植物遺伝資源の保存などを行っていて、北海道から沖縄まで、全国各地に11の農場・分場があります。
前に茨城県つくば市にある種苗管理センターの本所を訪ねているよ!(なろりんブログ37を参照)
雲仙農場は、島原半島の雲仙岳の斜面にあるんだって。
うしろの海は、諫早(いさはや)湾!
くねくね山道を登ると到着!
なろりん来ました~♪
こちらの農場は、昭和35年にジャガイモ(ばれいしょ)の原原種を作るためにできたんだって。ジャガイモの原原種(げんげんしゅ)っていうのは、「ジャガイモのもと種」のことだよ。
ジャガイモは「種子」ではなく「種いも」から栽培するため、増殖率がとても低くて1個の種いもから10個くらいにしか増えないんだって。たとえばお米は一粒から数千粒穫れるって考えたら、とっても少ないね!
それに、いったんウイルス病に感染してしまうと、次の世代の種いもにも伝染して大きな被害になってしまうんだって。
みんながジャガイモを安定して生産できるように、種苗管理センターは病気にかかっていないジャガイモの原原種を生産して都道府県に配っているんだって。
都道府県→農業団体→一般農家と段階的に元気な種いもを増やしていくシステムがあるのだそう。
去年はここから21品種のジャガイモを配ったんだよ!
なろりんたちが食べているジャガイモも、さかのぼると種苗管理センターで作られた種いもがもとになっているってことだね!
案内してもらった圃場は、雲仙岳の北側の傾斜を利用して作られていて、段々畑になっていたよ!
こちらの畑には、配布した原原種と同じものを植えて品質調査中。
青々とした葉っぱ!とっても元気そう!
こっちの畑はきれいに耕されていて、来年の種いもを植える準備がされていたよ。
お天気がいいと、有明海がよく見えて絶景なのだそう。なろりんも見てみたかったなぁ!
...まっしろ
ジャガイモシストセンチュウという害虫がいて、発生してしまうと原原種として出荷できなくなってしまうんだって。
土といっしょに持ち込まないよう、外から入ってくる時に車の泥を落とす水が自動で出るよ!
両側からシャワーが出てきた!
他にも農場の敷地へ入るところには必ずタイヤを洗う浅いプールのようなものがあって、害虫が入ってこないように対策がされていたよ。
害虫から守りながら、元気な種いもをつくるというのは、日々のきちんとした管理がとても大切なんだね。
次に、植物遺伝資源を保存するお仕事について教えてもらったよ。
雲仙農場では、種子による保存ができない植物を、栽培することで保存しているんだって。
ちなみに種子による保存は、遺伝資源センターのジーンバンクでしているよ(ブログ45回参照)。
こちらの圃場には、奥の方まで柿の木がずら~っと並んでいたよ。
柿だけで100品種もあるんだって!
雲仙農場では、柿のほかにも、あんず、かんきつ類、にんにく、カーネーション、こんにゃくなど、19種類の植物2,198品種を栽培して保存をしているんだって。
大切な資源を次の世代へつないでいく重要なお仕事だね。
そして最後に、新品種にしたいと出願(しゅつがん)された植物が本当に新品種なのか調べるお仕事について教えてもらったよ。
新品種と認められるには、次の3つの特性審査をクリアしなければならないんだって。
1)今までにある品種と形や特徴が明らかに区別できること
2)同一世代で形や特徴にばらつきがなく、十分に均一であること
3)繰り返し増やしても形や特徴が安定していること
それらを調べるために、実際に育てて細かくチェックするのだそう。
出願された植物と、それに形や特徴がよく似ている対照品種を2~3種類、それから"ものさし"となる標準品種を並べて栽培するんだって。1つの出願品種を調べるのに全部で4~5品種一緒に育てるんだね!
こちらのハウスではイチゴの栽培試験中。
イチゴの標準品種には、「とちおとめ」や「女峰」などが使われるんだって。
この中に、やがて世に出る新品種が!?
調査する項目の数は、草丈、葉っぱの大きさ、花や果実の大きさ、重さ、色など、1品種あたり約50~60個もあるんだって!
もし、まだ調査の項目が決められていない新しい植物が出願された時は、まず基準を作るところから始めるのだそう。基準づくりは2~3年はかかるんだって!
ショウガの栽培試験をしているところに遭遇!
収穫してきれいに洗って、これから比較するための写真を撮るのだそう。
葉と根っこ(塊茎)をきれいに分別
最後に決められた調査項目について標準品種と比較してどうなのか(大きいとか小さいとか)調べて、報告書を農林水産省へ提出するんだって。
新しい品種として登録されるかは、種苗管理センターからの報告書に基づいて、農林水産省が審査するのだそう。
農場長さんは、「新しい品種を育成するにも時間とお金がかかるもの。栽培試験は大変だけど、育成した方の権利を守るために頑張っているよ」、と笑顔で話してくれました。
案内してくれた雲仙農場長さんと業務部長さんと。
ありがとうございました♪
見てみて~!虹が出たよ~♪
次はどこの研究センターに行こうかな。
●「種苗管理センター」の詳細は、ホームページを見てね。