東北農業研究センターが開発した支援技術
- ⮞ 多収の新品種「そらひびき」
- ⮞ 大豆への灌水適期をアラートで知らせる「灌水支援システム」
- ⮞ トラクタで利用できる浅層暗渠施工器
- ⮞ 立毛間播種機のための大豆・麦両用施肥播種ユニット

多収の新品種「そらひびき」 (育成年 : 2024年)
日本では、食品用、なかでも主な用途である豆腐の加工適性を重視した大豆品種が育成されています。しかし、それら品種の収量は必ずしも高くありません。これに対し米国の大豆品種は収量が高いものの、主な用途を油糧用としているため、豆腐の加工適性に必要なタンパク質含有量が一般的に低い傾向にあります。そこで、豆腐の加工適性が高い日本品種と収量が高い米国品種の交配により、豆腐の加工適性が高く多収の大豆品種「そらひびき」を開発しました。
「そらひびき」の栽培適地は東北南部~北陸地域です。倒れにくく、葉焼病抵抗性や難裂莢性を有し、既存の品種と比較して2割以上の多収が見込めます。
「そらひびき」は、倒れずに 空 を向いて育った茎に多くの莢が実ってカラカラと揺れる音が 響き 渡る様子をイメージして命名されました。 そら には空のように高い収量を目指して育成した品種である意味も含まれています。
農研機構が開発した大豆の多収品種は、「そらシリーズ」として「そらひびき」のほかに、「そらみずき」(栽培適地 : 関東~近畿地域)、「そらみのり」(栽培適地 : 東海~九州地域)、「そらたかく」(栽培適地 : 東海~九州地域)があります。 [トップへ戻る]
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大豆への灌水適期をアラートで知らせる「灌水支援システム」 (2021年度普及成果情報)
大豆の収量を高めるには、湿害を防ぐだけでなく乾燥ストレスを軽減することも重要です。しかし、国内の大豆の多くは、水はけの悪い水田転換畑で栽培されているため、生産者の関心は湿害対策に集中しがちで、湿害の発生を心配するあまり雨の少ない時期でも灌水には消極的でした。また、大豆が乾燥ストレスを被る時期は、気象や土壌、栽培方法によって大きく左右されるため、乾燥ストレスの発生を早期に見極め、適期をとらえて灌水することも簡単ではありませんでした。そこで、大豆が深刻な乾燥ストレスを被る時期を推定し、アラートを発出して灌水の適期を知らせるWebシステムを開発しました。
この「潅水支援システム」は、メッシュ農業気象情報とユーザーがWeb上で入力する土壌情報、営農情報から、大豆の乾燥ストレスを日単位で推定します。システムがアラートを発出するタイミングが灌水の適期になります。アラートに従って適期灌水した現地では、大豆の10%増収が実証されています。 [トップへ戻る]
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トラクタで利用できる浅層暗渠施工器 (2018年度普及成果情報)
水田で大豆、麦、野菜などの畑作物を栽培し多くの収量を得るには、暗渠などを施工して水田の地下から余分な水を排出することが不可欠です。しかし、本暗渠と呼ばれる主要な暗渠は公共事業等で整備されるのが一般的であり、水田の排水機能を強化するために生産者自身が簡便に整備する手段はありませんでした。そこで、生産者が所有するトラクタで容易に暗渠を施工できるよう開発された技術が「トラクタで利用できる浅層暗渠施工器」です。
浅層暗渠施工器は、トラクタの牽引作業のみで、暗渠管を地下50cm 程度の深さに敷設できます。事前に暗渠管の埋設深さまで心土破砕作業を行う場合は85PS 以上のセミクローラ型トラクタ、また、溝掘り機により 30~40cm の溝を掘削する場合は、50PS 程度のトラクタを使用します。浅層暗渠施工器の構造はシンプルなので、地域の鉄工場等で製作でき低コストな技術です。 [トップへ戻る]
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立毛間播種機のための大豆・麦両用施肥播種ユニット (2004年度普及成果情報)
東北地域のように冷涼な気候の地域では二毛作は難しく、多くは1年1作になるため、暖地に比べ土地の生産性が上がりにくい状況にあります。しかし寒冷地でも、収穫前の作物のうね間に次の作物を播種 (立毛間播種) し、間作期間を設けることで年2作が可能になります。年2作になることで圃場の利用効率があがり収益の向上が期待できます。大豆-小麦の立毛間播種の場合、北東北地域では、大豆収穫の約1ヶ月前に畝間へ小麦を播種し、小麦収穫の約2週間前に大豆を畝間に播種します。水田転換畑では、転作期間中に2年3作・3年5作の大豆・小麦の作付、または、小麦・大豆二毛作の作付けとなります。
立毛間播種は昔からある技術ですが、農作業の機械化に伴いあまり行われなくなっていました。そこで、立毛間播種機を開発し省力的な作業を可能にしました。 2025年現在、立毛間播種機はメーカーで受注生産されています。[トップへ戻る]
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