"お弁当"や"おにぎり"に最適な低アミロース米を紹介しています。
1. 「うるち米」と「もち米」
お米には、大きく分けて2種類あります。一つ目は「うるち米」です。「うるち米」は普段私たちが食べているご飯であり、「あきたこまち」や「ひとめぼれ」、「コシヒカリ」などの品種があります。もう一つは「もち米」です。名前のとおりお正月などに食べる「もち」にするための米です。「こがねもち」や「ヒヨクモチ」といった品種があります。
2. ご飯の粘りと味の関係
うるち米の味は、ご飯の粘りと大きく関係します。つまりご飯は粘りが強いほどおいしいと感じ、逆に粘りが少ないパサパサしたご飯はおいしいと感じません。
3. ご飯の粘りの正体
ご飯の粘りはお米に70%含まれる「デンプン」で決まります。このデンプンにはアミロースとアミロペクチンの2種類あり、デンプンのアミロースの割合が少ないと粘りが強いご飯になり、逆にアミロースの割合が多いと粘りが少ないご飯になります。具体的には、粘りがとても強いもち米のデンプンは、全てアミロペクチンからなりアミロースの割合は0%です。一方で日本の一般的なうるち米のデンプンは、アミロースが17~23%含まれています。
4. 低アミロース米
低アミロース米とは、もち米とうるち米の中間のお米です。つまり米のアミロース含量が3~17%程度で、ウルチ米よりもアミロース含量が低くなっています。このため低アミロース米は、普通のうるち米より、よくねばり、つやつやして柔らかくておいしいご飯になります。
低アミロース米の特徴
(1)冷めてもおいしい!
炊飯米は冷めても硬くなりにくい特徴があり、お弁当やおにぎりのほか、チルドすしやレトルト米飯に適しています。
(2)混ぜておいしい!
古いお米やパサパサしたお米でも「低アミロース米」を混ぜて炊くと、ねばりがでておいしくなります。またもともとおいしいお米に混ぜてたくと、ねばりが増しさらにおいしくなります。
食べ方:ポイントは水加減
(1)100%低アミロース米をたべる
低アミロース米は、粘り気が普通のウルチ米よりも強く柔らかいのが特徴です。そのため普通のうるち米を炊くときと同じ水加減では、柔らかくなりすぎてしまいます。ですから普通のご飯を炊くときよりも10~15%ほど水加減を減らしてあげると丁度良くおいしく召し上がれます。
(2)まぜて食べる
もともとねばり気が少ないお米や、古くなってねばり気が少なくなったお米に、低アミロース米を混ぜるとねばり気が増えておいしくなります。混ぜる量は好みや場合によりますが、3割程度混ぜるときは、水加減を1割ほど減らすとおいしく召し上がれます。
低アミロース米の品種
スノーパール
東北農業試験場1998年育成 交配組合せ:74wx2N1/レイメイ
東北向けの低アミロース多収性品種.アミロース含量は一般ウルチ品種の約半分の7~9%で通常白濁します。炊飯米は、食味もねばりも「ひとめぼれ」と同等に優れるますが、冷飯の食味は、明らかに「ひとめぼれ」より優れます。
シルキーパール
東北農業研究センター2001年育成 交配組合せ:中間母本農14号/ヤマウタ
東北向けの低アミロース品種で、「ひとめぼれ」より丈が短く耐倒伏性にすぐれています。また「スノーパール」に比べ、もち臭の発生が少ない品種です。
シルキーパール草姿
彩(あや)
北海道上川農業試験場1991育成 交配組合せ:永系84271/キタアケ
北海道での栽培に適し、実用的な低アミロース米品種の第一号。アミロース含量は16~17%程度でそれまで本州産米より高めであった北海道産米のアミロース含量を引き下げることができた。
ミルキークィーン
農業研究センター1995年育成 突然変異育種:コシヒカリのメチルニトロソウレア(MNU)による受精卵処理
「コシヒカリ」の突然変異から得られた低アミロース米品種で、良食味米として茨城県を中心に南東北から九州まで広く栽培されている。
アミロース含量は変動します
お米に含まれるアミロースの量は、登熟時期(穂が出てからお米が実る時期)の気温が低いと多くなり、ふつうのウルチ米のようになります。逆に気温が高いとアミロースの量は少なくなり、お米はモチ米のように白くなり、ご飯のねばりも強く、ときにはもち臭(おこわのような臭い)のすることがあります。