作物研究部門

作物見本園

麦がぐんぐん伸びています。

前回の記事から2週間経ちました。今年は関東以西の各地で早くも桜が咲き始めていますが、麦の様子はどうでしょうか。

麦見本園の奥の畑では、菜の花(コマツナ、アブラナ科)を刈り取って、細断していました。後日、土にすき込む作業をします。この菜の花は、畑で作物の試験を行う前に、畑の地力を均一にする目的で栽培しています。

さて、これは1週間前、3月12日の麦見本園の様子です。手前の10列が大麦、それより奥が小麦です。

こちらは今日の様子。草丈がずいぶん伸びました。

1週間前、前2枚の写真と同じ場所で低い位置から写した写真。一番手前が大麦品種「ニューサチホゴールデン」です。

前の写真とほぼ同じ位置から写したきょうの様子。大麦「ニューサチホゴールデン」では一番上の葉(止葉=とめば)が既に出て、穂が出てくるのを待つばかりです。

きょうは麦見本園の全22品種をご紹介します。まず、大麦10品種から。大麦は、穂に実が何列つくかによって六条と二条に分類され、また、殻が実から離れにくい皮麦と離れやすい裸麦に分類されます。
左「ニューサチホゴールデン」 : ビール用の二条皮麦です。脂質酸化酵素リポキシゲナーゼを含まないため、香味が長持ちし、泡もちの良いビールができます。
中央「はるか二条」 : 短稈で多収の二条皮麦です。九州地域で栽培されている精麦用・焼酎醸造用品種です。
右「くすもち二条」 : もち性の二条皮麦です。九州地域で栽培が増えています。

左「ファイバースノウ」 : 麦ご飯用としての評価が高く、生産量の多い六条皮麦です。北陸地域で主に栽培されています。
中央「シュンライ」 : 関東地域を中心に栽培されている六条皮麦です。精麦や麦茶原料として使われています。
右「はねうまもち」 : もち性の六条皮麦です。北陸地域を中心に栽培が増えています。

左「カシマゴール」 : 縞萎縮病に強くて中折れしにくい、多収の麦茶用六条皮麦です。
中央「ハルヒメボシ」 : 裸麦の中では精麦用として最も多く栽培されている六条の品種です。主に味噌用に使われています。
右「キラリモチ」 : もち性の二条裸麦です。食味がよく、炊飯時に褐変しない特徴があります。

左「ビューファイバー」 : 機能性成分β-グルカンを普通の大麦の3倍近く含み、菓子などの原料に使われている二条裸麦です。
ここまでが大麦です。中央から右は小麦ですが、次の写真でご説明します。

小麦12品種をご紹介します。
左「ゆめちから」 : グルテンの力が強く、ブレンド利用に適したパン用の品種です。
中央「きたほなみ」 : 北海道で栽培されている高品質な日本めん用の品種で、日本で最も生産量の多い小麦です。
右「春よ恋」 : 北海道で栽培されていて、主として春に種を播くパン用品種です。

左「農林61号」 : 関東~九州で広く栽培されてきた日本めん用の品種です。穂発芽や赤かび病に比較的強く、近畿~東海では今でも栽培されています。
中央「さとのそら」 : 日本めん用の新品種で、関東や東海地域で農林61号に替わって栽培が増えています。
右「あやひかり」 : 関東~東海で栽培されている多収の日本めん用品種です。低アミロースで、うどんの滑らかなモチモチ感が特徴です 。

左「ユメシホウ」 : 関東~東海での栽培に適した早生・多収のパン用品種です。
中央「せときらら」 : 西日本での栽培に適した多収のパン用品種です。
右「ミナミノカオリ」 : 主に九州で広く栽培されているパン用品種です。

左「農林10号」 : 昭和10年に育成された品種です。背が低く倒れにくいため、世界的に多収小麦品種の育成に利用されました。
中央「Chinese Spring」 : 遺伝研究でよく使われる品種です。この品種を使い、農研機構が参加した国際研究によって、コムギゲノムの塩基配列の解読が達成されました。
右「セトデュール」 : 日本初のデュラム小麦の品種で、パスタに使われます。デュラム小麦はパンやうどん用の普通小麦の祖先で、同じコムギ属ですが別の植物種に分類されます。