作物研究部門

作物見本園

見本園全22品種の穂の特集です。

6月12日までに麦見本園のすべての品種が成熟しました。今回は刈りとった各品種の穂をまず小麦からご紹介します。この写真の上段左から右、下段左から右の順です。ただし、見本園のある茨城県つくば市が栽培適地ではない品種も含まれているので、各品種の代表的な穂の姿ではない場合があることにご注意ください。

最初の小麦は農研機構が育成した「ゆめちから」。グルテンの力が強く、ブレンド利用に適したパン用品種です。写真は21cm×14cmで、ほかの品種も基本的には同じ縮尺です。

「きたほなみ」。農林水産省指定試験事業で北海道立北見農試が育成した高品質な日本めん用品種です。北海道で栽培されている生産量日本一の小麦です。

ホクレンが育成した「春よ恋」。北海道で栽培されている主に春に種を播くパン用品種です。この品種は穂が大きいため、他と同じ縮尺でなく、写真は27cm×18cmです。

「農林61号」。昭和19年に育成された日本めん用の品種です。穂発芽や赤かび病に比較的強く、近畿~東海で今でも栽培されています。

「さとのそら」。指定試験事業で群馬県が育成した日本めん用品種です。関東や東海地域で農林61号にかわって 栽培が増えています。

農研機構育成の「あやひかり」。関東~東海で栽培されている多収の日本めん用品種です。低アミロースで、うどんの滑らかなモチモチ感が特徴です。

農研機構育成の「ユメシホウ」。関東~東海での栽培に適した早生で多収のパン用品種です。

農研機構育成の「せときらら」。西日本での栽培に適した多収のパン用品種です。

農研機構育成の「ミナミノカオリ」。主に九州で広く栽培されているパン用品種です。

昭和10年に育成された小麦「農林10号」。肥料を与えても背が低く、倒れにくいため、世界的に多収品種の育成に活用されました。

農研機構育成の「セトデュール」。日本初のデュラム小麦の品種で、2018年に品種登録されました。パスタに適しています。デュラム小麦はパンやうどん用小麦と同じコムギ属ですが、別の植物種に分類されます。

「Chinese Spring」。遺伝研究でよく使われる小麦品種です。この品種を使って、農研機構が参加した国際研究によって、コムギゲノムの塩基配列の解読が達成されました。

ここから先は大麦です。最初は指定試験事業で長野県が育成した「ファイバースノウ」。北陸と東北で作付けされている六条皮麦で、精麦用として最も多く栽培されています。精麦品質が優れ、主に麦飯用に使われています。なお、大麦は、穂に実が何列つくかによって六条と二条に分類され、また、殻が実から離れにくい皮麦と離れやすい裸麦に分類されます。

指定試験事業で長野県が育成した「シュンライ」。関東地域を中心に栽培されている六条皮麦です。精麦や麦茶原料として使われています。

農研機構が育成した「はねうまもち」。もち性の六条皮麦です。北陸地域を中心に栽培が増えています。

農研機構が育成した「カシマゴール」。縞萎縮病に強くて中折れしにくい、多収の麦茶用六条皮麦です。

農研機構育成の「ハルヒメボシ」。裸麦の中では精麦用として最も多く栽培されている六条の品種です。主に味噌用に使われています。

農研機構育成の「キラリモチ」。もち性の二条裸麦です。食味がよく、炊飯時に褐変しない長所があります。

農研機構育成の「ビューファイバー」。機能性成分β-グルカンを普通の大麦の3倍近く含み、菓子などの原料に使われている二条裸麦です。

ここから先の3品種は、網に入り込んだ鳥に、成熟前に穂の大部分を食われてしまいました。このため、その前の状態をご紹介します。5月12日の「ニューサチホゴールデン」。栃木県が育成した品種で、ビール用の二条皮麦です。脂質酸化酵素リポキシゲナーゼを含まないため、香味が長持ちし、泡もちの良いビールが作れます。

4月30日の「はるか二条」。農研機構が育成した短稈で多収の二条皮麦です。九州地域で栽培されている精麦用・焼酎醸造用品種です。

4月30日の「くすもち二条」。農研機構が育成した、もち性の二条皮麦です。九州地域で栽培が増えています。今季の麦コーナーはこれで終了します。ご覧いただきありがとうございました。