作物研究部門

作物見本園

麦見本園の全22品種をご紹介します。

きょうは11月28日。11月8日の種播きから、ちょうど20日経ちました。麦見本園の全22品種の芽が出揃っています。

この写真では、手前から11列が大麦、それより奧が小麦です。ひとつ前の写真では右半分が大麦、左半分が小麦です。

大麦品種「はるか二条」です。

小麦品種「あやひかり」。小麦は大麦に比べると、葉の形がスリムです。

では、麦見本園の全22品種を大麦からご紹介します。大麦は穂につく実の列の数で二条と六条に、また、殻が実から離れにくい皮麦と離れやすい裸麦に分類されます。
左「ニューサチホゴールデン」:栃木県が育成したビール用二条皮麦で、脂質酸化酵素リポキシゲナーゼを含まないため、香味が長持ちし、泡もちの良いビールが作れます。
中央「はるか二条」:精麦用の二条大麦として最も多く栽培されています。九州で栽培されており、主に焼酎に使われています。病害に強く、穂発芽しにくい多収の農研機構育成品種です。
右「くすもち二条」:農研機構が育成した九州で作付けが多いもち麦です。短稈で倒れにくい多収の二条皮麦です。

左「ファイバースノウ」:指定試験事業で長野県が育成した六条皮麦です。北陸・東北で作付けされており、主に麦飯用に使われています。
中央「シュンライ」:指定試験事業で長野県が育成した六条皮麦です。関東や東北南部で栽培されており、主に麦飯用に、一部は麦茶用に使われています。
右「はねうまもち」:農研機構が育成した六条皮麦です。「ファイバースノウ」のもち性の突然変異品種で、北陸地域を中心に栽培されています。

左「カシマゴール」:農研機構育成の縞萎縮病に強くて中折れしにくい、多収の麦茶用六条皮麦です。
中央「ハルヒメボシ」:農研機構育成の六条裸麦です。裸麦の中では精麦用として最も多く栽培されており、主に味噌用です。
右「フクミファイバー」:農研機構育成の六条裸麦です。もち性で機能性成分β-グルカンを普通の約3倍含み、炊飯時に褐変しにくい長所があります。麦飯や大麦粉に使われています。瀬戸内が主産地です。

左「キラリモチ」:農研機構育成の「キラリモチ」。もち性の二条裸麦です。食味がよく、変色原因物質プロアントシアニジンを含まないため、炊飯時に褐変しにくい長所があります。
中央「ビューファイバー」:農研機構育成の二条裸麦です。機能性成分β-グルカンを普通の大麦の3倍近く含み、菓子などの原料に使われています。ここまでが大麦です。

ここからは小麦11品種をご紹介します。
左「ゆめちから」:グルテンの力が強く、ブレンド利用に適したパン用の農研機構育成品種です。
中央「きたほなみ」:北海道で栽培されている高品質な日本めん用品種で、生産量の多い小麦です。指定試験事業で北海道立北見農試が育成しました。
右「春よ恋」:ホクレンが育成した北海道向けのパン用品種で、主に春に種を播きます。

左「農林61号」:1944年に育成され、関東~九州で広く栽培されてきた日本めん用の品種です。穂発芽や赤かび病に比較的強いです。
中央「さとのそら」:日本めん用の品種で、関東や東海で農林61号に替わって栽培が増えています。指定試験事業で群馬県が育成しました。
右「あやひかり」:農研機構育成の関東~東海で栽培されている多収の日本めん用品種です。低アミロースで、うどんの滑らかなモチモチ感が特徴です 。

左「ユメシホウ」:農研機構が育成した関東~東海での栽培に適した早生・多収のパン用品種です。
中央「せときらら」 : 農研機構が育成した 西日本での栽培に適した多収のパン用品種です。
右「ミナミノカオリ」:農研機構育成の西日本で広く栽培されているパン用品種です。

左「ミナミノカオリ」:前出。
中央「農林10号」:1935年に育成された品種です。背が低く倒れにくいため、世界的に多収小麦品種の育成に利用されました。
右「セトデュール」:農研機構が育成した日本初のデュラム小麦の品種で、パスタに使われます。デュラム小麦はパンやうどん用の普通小麦の祖先で、同じコムギ属ですが別の植物種です。