作物研究部門

作物見本園

秋風になびくエリアンサスの穂です。


見本園も秋が深まってきました。


6月中旬に種を播いたダイズ(マメ科)も成熟期を迎え、ぎっしり莢をつけています。この品種は農研機構が開発した「くろこじろう」です。


「くろこじろう」は、その名が示すように小粒の黒大豆品種です。従来からある小粒の黒大豆品種に比べて、倒れにくいため栽培しやすく、機械化栽培にも適することが特長です。


ダイズは1莢に1~3粒入っていることが多いですが、4粒の莢もたまにあります。


莢を割ると、ご覧のようなつやのある小さな黒豆が出てきます。


豆を割ってみた写真です。「くろこじろう」は、成熟しても豆の中身が緑色であることが特徴です。多くのダイズ品種は種皮の色が何であろうと、成熟した豆の中身は黄白色です。


「くろこじろう」は、もともとは納豆向けに開発されましたが、中身が緑色であるため写真のようなきれいな豆餅が作れたり、小粒であるため短い浸漬時間でも簡単に豆御飯が作れたりします。工夫次第で、さまざまな用途にご活用いただけます。


10月9日に出始めていたエリアンサス(イネ科)の品種「JEC1」の穂が、秋風になびいています。


穂の先端は、約3.5mの高さになりました。葉や茎などの生産量が多いエリアンサスは、燃焼ペレットやバイオガスのためのエネルギー原料、含有成分であるリグニンやセルロースを使った新素材の原料など、アイデア次第でさまざまな用途に利用できる可能性を持った新しいジャンルの作物です。


「JEC1」に続き、もうひとつの品種「JES1」も穂が出ました。2品種とも農研機構と国際農林水産業研究センターが共同開発した新品種です。


新品種の「JES1」(左)と「JEC1」(右)は、エリアンサスの中でも特に「栽培系エリアンサス」と呼ばれます。エリアンサスは熱帯原産の植物ですが、「栽培系エリアンサス」は、穂が出て開花する時期が遅く、寒さのために発芽能力のある種子ができにくいので、雑草化の危険性が低いことが特徴です。