森と草原の贈り物
かつて北東北の山で一般的であった日本短角種の放牧は、私たちに多くのものを与えてくれました。短角牛の放牧によって作られた、広々とした気持ちよい草原景観は人々の心に安らぎを与え、多くの草原生の貴重な植物群を保全し、多様な自然を作り出していました。
また、無牧柵の林業地帯に低密度で放たれた日本短角種の行動や放牧が草や木に及ぼす影響を調べた結果、日本の極相林であるブナ林の天然更新やスギ林の天然更新に短角種の放牧が重要な役割を果たしていることが明らかになりつつあります。
日本短角種の放牧によって作られた半自然草原
やすらぎのある景観、絶滅のおそれのある草原性の動植物を保全する半自然草原(写真左)も、放牧の衰退によって失われる(写真右)。
林業と共存する林間放牧
林内の草の生産に見合った放牧は、環境にも優しい未来型生産技術です。
牛が草やササを食べることでスギの実生に光が届き、すくすくと次代のスギが育ちます。自然のメカニズムを利用してブナ林やスギ林の天然更新を支えています。
牛の行動別の環境利用頻度
広大な森林に放牧された、日本短角種はいろいろな環境を上手に使って生活していることがわかりました。