サクナヒメと見る
米作りの最前線

サクナヒメが行っている米作りは、昔ながらの方法ですが、
米作りに関わる技術は日々進歩しています。
農研機構が開発した技術を中心に、
米作りの最新技術をサクナヒメたちと一緒に見てみましょう !

サクナヒメ

米作りの技術がどこまで発展しているか見ていくぞ !

田植え

● 田植えの機械化

昔は手作業で苗を田んぼに植え付けていましたが、昭和40年頃(1965年頃)から田植機が使われるようになりました。最初は手押しの歩行タイプでしたが、人が乗れるタイプへと進化し、現在は人が乗らなくても自動で田植え作業を行う自動運転田植機の普及が進められています。

1986年に市販された高速乗用田植機
自動運転用田植機

自動運転田植機は、熟練者並みのスピードと精度で田植えを行います。人と違って疲れることなく作業を続けられます。トラブル時には緊急停止する安全機能も組み込まれています。

ロボットやAI(人工知能)を活用した農業を
「スマート農業」というそうですよ

ココロワヒメ

● 田植えをしない米作り~直播栽培~

田右衛門

田植えしなくても、直接種をまく
「直播(ちょくは)栽培」が広まっているようですぞ!

田植え作業は機械化されたとしても時間と労力がかかります。田植えに使う苗の準備時間も含めると、稲作の総労働時間の約1/4を占めます。

一方、苗を育てず直接田んぼに種をまく「直播栽培」が近年注目されています。直播栽培には浅く水をはって代かきした田んぼに種をまく「湛水直播」と、乾いた田んぼに種をまく「乾田直播」があります。

水管理

水の管理はお米の出来を左右する重要な作業です。朝田んぼに行って水を入れ、夕方に水を止める毎日の作業のほか、生育時期や天候に合わせて水の深さを変える必要があり、とても手間がかかります。水管理は米作りの全作業の約3割を占めるほどです。

そこで、スマートフォン(スマホ)による水管理システムを開発しました。

田んぼにセンサー機能付きの制御装置を設置することで、スマホの画面で田んぼの水位や水温を知ることができ、スマホ操作で給水・排水の遠隔操作を行えます。また、水の深さを設定しておけば自動で水位が調整されます。水管理時間をこれまでより80%削減できます。

いちいち田んぼに見に行かなくてもいいんじゃな

雑草管理

雑草を抜くのは大変な作業なんじゃ

田んぼに雑草が生えると、栄養を雑草にとられたり、イネに光があたらなくなることで成長が遅くなったりします。そのため雑草管理は重要な作業の一つです。

● 開張型イネ

農研機構が開発した「開張型イネ」は、従来の品種に比べて葉を広げながら生育するため、水面下に届く太陽の光を遮り、雑草の生育を抑えることができます。収穫時には葉は直立するので、これまで通り機械での収穫が可能です。

開張型の草型は、「栽培化」の過程で失われた形質のひとつです。
栽培化とは、野生の植物から農業形態に適した個体を選抜してきた過程のことで、栽培化により育てやすく、収量も増え、人類にとって有用な「作物」となりました。一方で、野生植物が本来持っていた多様で多彩な遺伝子が失われました。 栽培化で失われた遺伝子の中には、現在の農業においても有用なものもあります。
開張型イネは、雑草抑制力に優れる水稲品種の育成を進めるための育種素材として、活用が期待されます。

● ノビエ防除

上述の「乾田直播栽培」では、雑草、特にノビエ(タイヌビエなど)が生えやすいという問題がありました。そこで、防除に適した時期を推定するシステムを開発しています。

害虫管理

ウンカはイネの害虫。
汁を吸ってイネを枯らしてしまうんじゃ。

タマ爺

イネの害虫として知られているウンカは、江戸時代の大飢饉の原因とも言われており、トビイロウンカ、セジロウンカ、ヒメトビウンカの3種類がいます。 イネの葉や茎から養分を吸ってイネを枯らしたり、病気を媒介したりします。
ウンカは梅雨時期に中国大陸から飛来してきます。ウンカの防除対策として、気象データを利用してウンカが飛来してくる日を予測するシステムを開発しました。

収量

イネの生育可能期間が長い九州地域では、1回の田植えで2回収穫する「再生二期作」で、お米を多く収穫することが可能です。試験ほ場レベルでは10アールあたりおよそ1.5トンの収穫量が得られました。 地球温暖化の影響で春や秋の気温が高くなると、イネの生育期間はさらに長くなると予想されます。

再生二期作では収穫後に切株から発生するひこばえを栽培・収穫します。
通常の二期作で行われる二期作目の育苗や移植が不要であり、また適切な管理を行うことで通常の一期作に比べて増収も可能であるため、生産量あたりの生産コストの削減が期待できます。

品種

「コシヒカリ」、「あきたこまち」、「ひとめぼれ」など、お米の品種はいろいろあります。味はもちろん、栽培のしやすさ、病気に対する強さ、栽培に適した地域、収穫量、収穫時期など、品種ごとに特徴があります。

● 倒れにくいイネ

強風などで収穫前のイネが倒れてしまうと、収穫作業の能率が低下し、収量や品質も悪くなってしまいます。直播栽培、特に湛水直播では、株元が地面にしっかり埋まっていないため倒れやすくなっています。このため、倒れにくい品種(「萌えみのり」、「ゆみあずさ」、「さんさんまる」、「しふくのみのり」など)が開発されています。

● 高温に強いイネ

地球温暖化が進んで気温が上がると、お米にも影響が出てきます。
登熟期の気温が高いと、お米が白く濁る「白未熟粒」の割合が増え、品質が下がってしまいます。

「にこまる」や「にじのきらめき」など、暑さに強いイネの栽培が広がっています。

品種改良でいろんなお米がつくられているのだな

● 品種改良

上記のような品種は、品種改良によって作られます。新しい品種のイネを作るには、特徴の異なる2つの品種を交配して、得られた種子をまいて栽培することで、多くの種子ができます。その種子をまいて栽培した中から優れた形質(収量、品質など)を持つものを選ぶという作業を繰り返します。新しい品種ができるまで約10年の年月がかかります。 最新の技術では、ゲノム(遺伝情報)と形質(収量、品質など)のデータをAIに学習させた「ゲノム選抜AI」により、ゲノムデータから高い精度で形質を予測できるようになっています。栽培の労力の削減と、選抜に必要な期間の短縮化が可能なため、品種改良の加速化・効率化が期待されます。

米粉の利用

● 米粉

煎餅、団子、和菓子などの原料として、お米を砕いて細かくし、粉状にした「米粉」が使われています。 米粉パン、米粉麺など、米粉の使い方は広まっており、米粉の需要が高まっています。

● 米粉パン

米粉パン用には、米粉にしたときに粉の粒子が小さいものが適しています。また、デンプンの粒に割れや傷があるとあまり膨らまないので、そのような壊れたデンプンの割合が少ない品種が使われます。

● 米粉麺

お米に含まれるデンプンにはアミロースとアミロペクチンがあり、アミロースの割合が低いと粘りの強いご飯になります。米粉麺に加工する場合は、麺がくっつかないほうが良いので、アミロースの割合が高いお米が適しています。

デンプンの成分のうちアミロースの割合が高いと粘りが少なくなる

ミルテ

O(オー)! パンできる、コメでもですか?
ミルテ、タべたいです!

こちらもご覧ください!

広報誌「なろ」 No.18
(2021年1月発行)
特集 : 稲作をめぐる物語
広報誌「なろ」 No.25
(2022年4月発行)
特集 : 米作りイノベーション

©えーでるわいす/「天穂のサクナヒメ」製作委員会