重点普及成果

サツマイモ基腐病の感染拡大防止、被害最小化技術の普及拡大

本技術開発の背景

サツマイモ基腐病(以下、基腐病)はサツマイモの主要な土壌伝染性病害である。全国33都道府県で発生が確認され、特に南九州・沖縄地域での被害が大きい。本病原菌は罹病残渣中で生存し翌年の感染源となるとともに、苗やイモを通じて感染が拡大する。2018年に国内で初めて報告された病害であるため、有効な防除技術を確立する必要があった。

技術概要

  • 基腐病をほ場に持ち込まない技術として、基腐病の病原菌に潜在感染した種イモを、効果的に消毒できて萌芽能力も維持できる蒸熱処理基準を明らかにした。本処理基準を用いた蒸熱処理はサツマイモ生産の現場で活用されている。苗床の土壌消毒と組み合わせて、健全苗の供給技術として普及を進めることにより感染拡大防止に貢献する。
  • 基腐病をほ場で増やさない技術として、「べにはるか」や「高系14号」より基腐病抵抗性が優れる「強」ランクで、外観品質が良く、ほくほく系の青果用品種「べにひなた」を品種登録出願した。昨年までに育成してきた基腐病抵抗性が「やや強」のでん粉原料用品種「こないしん」、焼酎/でん粉原料用品種「みちしずく」と合わせて普及拡大を図り、減収ゼロに貢献する。

技術に関する問い合わせ先

農研機構 九州沖縄農業研究センター 研究推進部 研究推進室
Tel.(096)-242-7530

参考情報

普及成果情報

プレスリリース

標準作業手順書(SOP)

原著論文

  • 小林晃ら (2024) 「病害虫複合抵抗性を有するでん粉原料用カンショ多収品種「こないしん」の育成およびその特性」. 育種学研究. 印刷中

その他研究成果