北海道農業研究センター

小学校稲作体験学習

2019年小学校稲作学習

北海道農業研究センターでは、都市部の子供たちに農業と食べ物についての理解を深めてもらうため、羊丘小学校からの要請に応えて、5年生を対象に稲作に関する学習を年4回行っています。この取り組みは、1987年より続いています。

田植え (令和元年6月3日)

田植えの様子この日は天気に恵まれ、作物開発研究領域水稲育種グループの保田上級研究員から説明を受けた後、班に分かれてさっそく田植えを開始しました。
今回植えた稲は、良食味で乾田直播栽培(水を入れる前で畑状態の田んぼに直接種もみをまく方法)にも向き省力化や低コスト化が可能な新品種「さんさんまる」を始め、適度な粘りの強さと柔らかさが特徴の「おぼろづき」、ご飯の白さに優れツヤのある「ゆきさやか」、食味のバランスが良い「ななつぼし」の全部で4品種です。

子供たちは足から伝わる田んぼの土の感触に初めは声を上げますが、苗を持って植え始めたら表情は真剣です。あらかじめ引かれた目印の線に合わせて、手際よく苗を植えては前に進んでいきます。時折、足が深く埋まり抜けなくなる様子が見られましたが、職員のアドバイスを聞いて自力で脱出。大きく転倒する子はおらず、無事に予定していた田んぼへの植え付けが終わりました。

最後の質問コーナーでは、1株の稲からどのくらいのお米が穫れるのか、職員の手植えや田植機を使った田植えはどれだけ早いのか、などの質問に研究員が回答しました。

生育観察会(令和元年8月27日)

生育観察会の様子田植えの日と同様、この日も好天となりました。
まずは、作物開発研究領域水稲育種グループの保田上級研究員より、これまでの稲の生育状況などについて説明をしました。ちなみに、今年は6月下旬ごろ一時的に気温が低くなる時期があったものの、田植え後の気温が高かったために稲の生育は順調です。現時点では、お米の収穫量は例年どおりと見込まれています。

その後、水田のそばに移動して観察とスケッチを開始しました。
稲の成長の様子はウェブページ「稲成長日記」で知っていましたが、ほんの3ヶ月前には小さな苗だった稲が目の前で立派な穂を稔らせている様子を見て、子供たちからは驚きの声が上がりました。
スケッチでは、実際に穂や葉の感触を確かめながら、穂のアップや根元からの全体像など、それぞれのポイントで「稲」を丁寧に描いていました。
籾を手にとって玄米を取り出してみたり、まだ固くなる前の籾をつぶして中のミルク状のお米をなめてみたりと、ただ見るだけではなく触れて味わうことでも稲の成長を体感しました。

「水のムラ」「水田の地割れ」「花粉の形」「受精の数」「台風対策」などなど、子供たちからの多くの質問に研究員が回答し、今回の生育観察会は終了となりました。

稲刈り(令和元年10月10日)

稲刈りの様子当初予定した日はあいにくの雨。二度の順延の末、この日ようやく天気に恵まれました。
はじめに、作物開発研究領域水稲育種グループの保田上級研究員から、鎌の扱い方と刈り方のポイントについて説明を行いました。

そして、自分たちの稲の前に並び、鎌を手に持ち稲刈りを開始しました。
株の根元を握り、自分の指や足を誤って傷つけないように気をつけながら慎重に、でも勢いよく次々に鎌の刃を入れていきます。刈り取った稲は近くのパートナーへ渡し、品種ごとに積み重ねます。
サポートで付いていたベテラン業務科職員がスピーディな手刈りのデモンストレーションを見せると、周りの子供たちからは驚きの視線が送られていました。
ちなみに、今回の刈り取りは一人あたり10株ほど。後日の試食に必要な量はこれで確保できます。

全員が刈り取りを終えてからは別の水田へ移動し、自脱型コンバインによる稲刈りの様子を見学しました。
ついさっき90人で数十分かけて刈り取った場所より広い水田を、たった1台でわずか数分の間に刈り取り、しかも脱穀と藁の排出まで同時に行うコンバインの働きに「速い」「面白い」などの声がたくさん上がりました。

この日収穫された稲は、はさ掛けによる天日干しで乾燥させ、脱穀・籾すり・精米の工程を経て、試食会(11月下旬頃)で提供される予定です。

なお、稲の成長の過程は「2019年稲成長日記」ページでご紹介しています。