社会にインパクトのあった研究成果
農林水産研究成果10大トピックス 2011年選出
ピーマンモザイクウイルス病を予防する植物ウイルスワクチンを開発
土壌伝染するピーマンモザイク病に卓効を示す臭化メチル剤は、地球のオゾン層を破壊するため2013年から全廃されます。
そこで、(独)農研機構中央農業総合研究センターと(株)微生物化学研究所、(株)京都動物検査センター、京都府農林水産技術センターは共同で、臭化メチル剤の代替防除技術としてピーマンモザイクウイルス病を予防する植物ウイルスワクチンを開発しました。
本研究は農林水産省委託プロジェクト研究「生物機能を活用した環境負荷低減技術の開発」および新たな農林水産政策を推進する実用技術開発事業「臭化メチル剤から完全に脱却した産地適合型栽培マニュアルの開発」で実施しました。
関連情報
- 生物機能を活用した病害虫・雑草管理と肥料削減:最新技術集(刊行物)
- 「臭化メチルにたよらない新規栽培マニュアル」の進行状況(研究活動報告)
- 植物ウイルス・ウイロイド病害の診断防除技術究(中央農研産学官連携支援センター研究紹介)
水稲の乳白粒の発生割合を収穫前に予測
近年、水稲登熟期の不良気象条件により、乳白粒(※)の発生などによる玄米品質の低下が頻発して問題となっています。
これまで、農家が登熟中の玄米の外観から乳白粒の発生を予測する手法がなかったことから、(独)農研機構九州沖縄農業研究センターと(株)ケツト科学研究所は、玄米横断面の白濁部の画像解析により、水稲の乳白粒の発生割合を収穫の10日前に予測する機器を開発しました。
(※乳白粒とは、玄米の検査等級を下げる未熟粒の1つで、表面の1/2以上が白濁している粒を指す。登熟期の日照不足や台風、高温などの不良気象条件で発生する。)
関連情報
根こぶ病と黄化病に抵抗性のハクサイ新品種「あきめき」を育成-栽培しやすく、結球葉が色鮮やか-
(独)農研機構野菜茶業研究所と(株)日本農林社は、DNAマーカーを活用した選抜により、ハクサイの主要な土壌病害である根こぶ病と黄化病に抵抗性をもつハクサイ新品種「あきめき」を共同で育成しました。
本研究は農林水産省委託プロジェクト研究「新農業展開ゲノムプロジェクト」で実施されました。
ハクサイ産地では、ハクサイの主要な土壌伝染性の病害である根こぶ病と黄化病の発生が大きな問題となっている。「あきめき」は、根こぶ病に強い抵抗性と黄化病に中程度の抵抗性があるため、防除におけるコスト削減及び薬剤処理に要する労力の軽減が期待されます。