社会にインパクトのあった研究成果

農林水産研究成果10大トピックス 2013年選出

リンゴの摘果が楽にできるハサミを開発-新しい3枚刃構造で手の負担を軽減-

リンゴの摘果は、着果後の5月から肥大が進む前の6月までに行う必要があり、作業適期が限られています。また、摘果は葉を避けながら果梗を1本1本切断する細かい手作業であるため、労働負担の軽減と作業の効率化が望まれていました。

農研機構 生物系特定産業技術研究支援センターは、岩手県農業研究センター、株式会社 サボテンと共同で肥大前のリンゴの実を間引く摘果作業を軽減できる専用ハサミを開発しました。3枚刃構造で中央の刃を中心果に向けて挿入し、左右の刃が中央に向け閉じることで同時に複数の実を切断でき、手の負担軽減と作業速度のアップにつながると期待されます。

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新規食品素材「米ゲル」-多彩な用途で小麦の代替と食品の低カロリー化に期待-

農研機構 食品総合研究所は、高アミロース米を原料に、新規ゲル素材の製造法を開発しました。柔らかいゼリータイプから高弾性のゴム状まで幅広い物性を持つ素材が調整でき、洋菓子やパン、麺など多彩な用途に利用できます。今後、小麦粉を使わない代替食品、油脂を低減した低カロリー食品等への利用につながると期待されます。

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定置型イチゴ収穫ロボットを開発-大幅な省力化に期待-

イチゴの全労働時間のうち、収穫作業は1/4程度を占めています。農研機構 生物系特定産業技術研究支援センターは、シブヤ精機株式会社、愛媛県農林水産研究所と共同で、その自動化に取り組み、定位置で自動収穫を行う定置型イチゴ収穫ロボットを開発しました。循環式移動栽培装置と組み合わせたロボットシステムは、画像処理で収穫適期の果実のみを収穫します。判別装置の改良により昼間の収穫が可能となり、稼働時間の拡大を達成しました。また、ロボットの低コスト化も実現しました。大幅な省力化が期待されます。

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β-クリプトキサンチンの血中濃度が高い中高年女性は骨粗しょう症になりにくい-ミカンの骨粗しょう症発症予防効果に期待-

農研機構 果樹研究所と国立大学法人 浜松医科大学は、ウンシュウミカンに特徴的に多く含まれているカロテノイド色素であるβ-クリプトキサンチンの血中濃度が高い中高年女性は、低い人に比べて骨粗しょう症の発症率がおよそ92%低いことを発見しました。ミカンの骨粗しょう症発症予防につながることが期待されます。

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米粉パンに適した水稲新品種「ゆめふわり」を育成-「やわらかい」「しっとり」「もっちり」な米粉パンに-

 

近年、米粉パンの普及が進むとともに、製粉時の損傷デンプンの割合が少ないなど、パン製造に必要とされる米粉の特性が明らかになってきた。農研機構 東北農業研究センターは、米粉専用品種「ゆめふわり」を育成しました。「ゆめふわり」の米粉は、「あきたこまち」と比べて損傷デンプンの割合が低く、粒径の小さい、パンに適した米粉となります。平成26年に米粉パンの販売が計画されており、今後の米粉需要拡大に貢献すると期待されます。

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