社会にインパクトのあった研究成果

農業技術10大ニュース 2021年選出

サツマイモ基腐病をすばやく診断!
- 病原菌を最短約1日で検出・同定 -

【写真】 サツマイモ基腐病の症状
(左:茎、右:いもの外側と内部、矢印が病徴部)

農研機構は、新型コロナウイルスの検出にも使われるリアルタイムPCR法を用いて、サツマイモ基腐病菌を最短約1日で検出・同定する技術を開発。従来の2週間より早期の診断が可能となったことで被害のまん延防止対策として期待されます。

2万円で自作! IoT監視システム
- 自宅からスマホでハウスの見回り -

農研機構は、2万円ほどで自作でき、ハウス内の温度等をスマートフォンで確認できるシステムを開発。メッセージアプリを使い、希望の時刻や間隔など、生産者ニーズに合わせてハウス内の情報取得が可能。ハウスの管理のために足を運ぶ頻度が減り、見回り時間を削減できます。

タマネギ直播栽培の5作業が1回で
- 安定生産と作業性を両立する作業機を開発 -

農研機構、JA全農、株式会社クボタは、タマネギ直播栽培の作業機を開発。トラクタに装着して、畝立て・溝底播種・直下施肥のほか、耕うんや農薬散布を加えた5作業を同時に行うことが可能。慣行の苗移植体系より労働時間を24%削減しつつ、直播栽培の初期生育が改善できます。

アミノ酸バランス改善飼料で牛排せつ物由来の温室効果ガスを削減
- 地球環境に配慮した畜産の実現に期待 -

農研機構と栃木県は、アミノ酸バランスを改善した飼料を肉用牛に給与することで、排せつ物から発生する温室効果ガス(一酸化二窒素)を半減できることを明らかにしました。牛の増体や肉質への影響はなく、地球環境に配慮した畜産の実現が期待されます。

2つの腕でロボットが果実を収穫 - 果実をAI認識、人と同じ速度で作業 -

開発した果実収穫ロボット

株式会社デンソー、立命館大学、農研機構は、V字樹形のリンゴ、ニホンナシ、セイヨウナシを対象とした果実収穫ロボットのプロトタイプを開発。果実をAIで認識し、2本のロボットアームによって、人と同等の作業スピード(11秒/個)で収穫が可能。収穫作業の軽労化が期待されます。

圃場の病害虫をスマホで診断!
- AIを利用した画像診断技術を開発 -

農研機構などの研究グループは、精度の高いAI病害虫画像判別器の開発に成功。トマトなど4作物の病害虫の画像を基に病害虫名を診断する病害画像診断技術に基づくシステムを先行的に公開。システム利用者の画像を蓄積することで、さらに診断精度を高められることが期待され、病害虫防除の対策に貢献できます。

世界の穀物収量をいち早く予測
- 既存サービスよりも1~6ヶ月早く予測情報を提供 -

収穫予測時点から収穫までの時間(ヶ月)

農研機構とAPEC気候センターは、全世界を対象とした穀物の収量予測手法を開発。本手法の収量予測では、既存予測サービスよりも1~6ヶ月早く、収量の概況を把握できることを明らかにしました。予測情報の公表により、食料の投機的な価格高騰を抑制するなど公益的な効果が期待されます。