土壌生産力の総合的管理による持続的生産技術の開発
地域資源の効率的利用に基づく養分管理及び環境負荷低減に向け、農業の自然循環機能を活用した有機資源の循環利用や土壌蓄積養分の評価と利用を進め、化学肥料の投入量を削減する。このため、土壌診断に基づく適正施肥実践の共通基盤技術となる土壌の可給態窒素及び可給態リン酸の現場対応型診断法の開発・改良、家畜ふん堆肥のリン酸肥効の解明と資材化技術の開発、土壌に蓄積した養分の活用技術、接触施肥等による野菜の施肥リン酸利用率の飛躍的向上技術の開発を行うとともに、これらを現地検証する。茶では収量・品質を確保しつつ環境負荷を抑制する施肥削減技術を開発する。また、これらの管理が土壌生産力の長期的推移や環境負荷物質の発生に及ぼす影響を明らかにする。養分の供給力が抑制され易い寒地畑作地帯では、土壌に蓄積したリン酸を活用するため、土着菌根菌等を利用したリン酸減肥技術の適用可能な作物や土壌の種類の拡大等を図り現地検証する。併せて、寒地における有機資源の効率的利用技術を開発するために有機物分解や物質代謝を担う根圏の生物機能を解明する。高温・多雨で地力消耗が著しい暖地畑作地帯では下層土まで適用できる蓄積養分評価法を開発するとともに、畑の湛水処理によって低投入養分管理を可能とする合理的水管理技術を確立する。併せて、環境負荷低減と肥効率向上を目指した有機物施用技術を開発する。これらにより、化学肥料の投入量を慣行の2割以上削減する技術を開発する。
環境保全型技術導入の影響評価では、広域農地の水系における環境負荷物質の低減技術シーズ等を基盤として、負荷低減対策技術の導入効果を予測可能な農業由来環境負荷物質の動態モデルを構築する。これにより、水系における環境負荷リスクに対する脆弱性や対策技術の効果の評価法を開発する。
農業の自然循環機能を支える生物的要因のうち、農地土壌中の窒素・リン代謝等を担う微生物相や連作等に関わる微生物相を、メタゲノム解析を組み合わせて把握し、作物の生産性と相関を有する微生物指標を探索する。また、微生物の機能を利用して土壌消毒法等を改良し、現地検証する。
また、有機資源循環や施肥削減などに対応し、作物の養分循環機能を活用した生産技術の開発を目指して、エンドファイトの共生による窒素固定の制限要因と活用条件の解明、メタボローム解析を利用した栄養・ストレス診断・及び品質評価法の開発等を行う。
普及成果情報
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2015年
- 明視野条件下、高コントラストで菌根菌を染色する方法
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2015年
(主要普及成果)
- 乾熱土水抽出による水田土壌可給態窒素の簡易迅速評価
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2014年
(主要普及成果)
- 整せん枝残さ土壌混和と効率的施肥による茶園の一酸化二窒素と施肥窒素削減
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2013年
(主要普及成果)
- アーバスキュラー菌根菌宿主跡のダイズ栽培ではリン酸施肥を3割削減できる
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2013年
- 茶園への石灰窒素の施用による一酸化二窒素発生量抑制効果
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2012年
(主要普及成果)
- 圧力調節灌水器具を利用した日射制御型拍動灌水システムの傾斜農地への適用法
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2011年
(主要普及成果)
- 適正施肥推進のための「施肥・減肥基準データベース」