社会にインパクトのあった研究成果

農業技術10大ニュース 2025年選出

地下まで効く!ナガエツルノゲイトウ防除技術
- まん延を防いで、生産者の負担を軽減 -

【写真】ナガエツルノゲイトウの成植物(左)とナガエツルノゲイトウによって覆われた排水路(右)

ナガエツルノゲイトウは特定外来生物に指定されている多年生雑草で、河川や水路、水田などに侵入・定着しています。近年、東北以南の水稲作で問題となっており、侵入した水田での早期防除と分布拡大防止対策が求められています。
農研機構、千葉県農林総合研究センター、神奈川県農業技術センターは、ナガエツルノゲイトウに有効な水稲用除草剤とその処理時期を明らかにし、有効除草剤を組み合わせた体系処理により本種を防除する技術を開発しました。本成果により、ナガエツルノゲイトウによる雑草害軽減とまん延防止が期待されます。

温暖化時代の果樹適地予測マップ!
- 持続可能な果樹生産に貢献 -

【参考写真】 ミカンは温暖化に伴い日焼けや浮皮などの高温障害が増加、アボカドは温暖化に伴い栽培に適した地域が拡大する可能性

果樹は気候への適応性が低く、北日本等のリンゴ、西南暖地のウンシュウミカンなど主産地に地域性が見られます。このため、温暖化の進行に伴い、現在の産地が栽培に適さなくなる可能性があり、大きな問題となりかねません。
農研機構は、温暖化に対応した果樹の栽培適地予測マップを開発しました。温室効果ガス排出量が異なる複数の仮説を基に、今世紀半ば及び今世紀末の適地予測を1kmメッシュ単位で詳細に示しています。このマップは、温暖化に対応した長期的な栽培計画策定に活用できます。

赤い果実は太陽を浴びた証 ぶどう新品種「サニーハート」登場
- ハートのような果実を口に含めば、味わい新感覚 -

【写真】サニーハート

ブドウでは、食味良好で皮ごと食べられる「シャインマスカット」が好評を得ていることから、最近は皮ごと食べられて、外観や食味が「シャインマスカット」と異なる品種が求められています。
農研機構は、果皮が赤色で皮ごと食べられるぶどう新品種「サニーハート」を開発しました。糖度が約20%と高く、歯切れのよい果肉と良好な食味が特徴です。「シャインマスカット」や「巨峰」等の主要品種とは色や形が異なる、新たな需要を喚起する品種として普及が期待されます。

ももの樹の動画を用いてAIが水分状態を診断
- 初心者でも簡単、正確にかん水タイミングを判断 -

【参考図】 もも樹の撮影方法

ももでは、樹の水ストレスが果実の大きさや糖度に影響し、品質の良いももを生産するためには、適切な水管理が必要です。樹の水ストレスの測定には専用の高価な機器と葉を切り取って計測するなどの労力を要します。
農研機構は、AIを活用し、スマートフォンで撮影したももの樹の動画を利用して水分状態を簡便に診断する技術を開発しました。高価な機器や葉の採取は不要で、数値化された水ストレス状態から、初心者でも適切なかん水タイミングを判断できます。将来的にロボットによる自動診断・自動かん水への発展が可能となります。

ダイズ・根粒菌共生系で温室効果ガスN2Oを削減
- 開発した共生系によりN2O排出量を74%削減 -

【図】N2O削減根粒菌が共生する根粒の割合を高めたダイズ根粒共生系の開発

地球温暖化の一因となる一酸化二窒素(N2O)は農地からも発生しており、その発生を抑制する方法が世界中で模索されています。
農研機構、東北大学、帯広畜産大学、理化学研究所の共同研究グループは、N2Oを分解する能力の高い根粒菌をダイズに優占的に共生させる技術を開発し、ダイズほ場からのN2O排出量を74%削減しました。本技術による地球温暖化抑制への貢献が期待されます。