生物機能等の農薬代替技術を組み込んだ環境保全型病害虫・雑草防除技術の開発と体系化

生物機能等を利用する持続的な作物保護技術の開発に向け、圃場の病原体汚染程度や被害リスクの評価法及び各防除手段の要否や効果を判定できるシステムを開発する。また、生物機能を利用した農薬代替技術(弱毒ウイルス、ふ化促進物質作物等)を開発するとともに、作物・媒介生物・病原体の相互作用やその環境要因の系統的解析に基づいた要素技術を合理的に組み合わせ、総合防除体系を構築する。さらに、臭化メチル代替となる環境保全型の土壌病害防除技術を開発するとともに、適用可能地域を拡大するため地域特性に応じた改良を加える。

土着天敵の利用のために、農業に有用な生物多様性指標の評価に基づいた環境保全型農業の評価・管理技術を開発する。また、バンカー法を中心として天敵類の保護増強に有効な資材の導入や植生管理・景観植物等の生態機能を効果的に組み合わせた総合的害虫管理体系を10作目以上で確立する。

病害抵抗性品種の持続的利用技術を開発するため、いもち病抵抗性遺伝子等の解析、及び抵抗性の安定性に関与する要因の摘出を行うとともに、集団生物学的手法によるいもち病菌個体群動態予測モデルのプロトタイプを作成する。

雑草のまん延防止のため、雑草動態モデルに雑草の生物情報や生物間相互作用の情報を加えた防除技術開発や普及現場での汎用化を進め、多様化する帰化雑草のまん延警戒システム、研究者と生産現場が効率的防除のために双方向で利用できる雑草生物情報データベースを構築する。また、雑草の動態を考慮した長期雑草管理システムを構築する。

さらに、海外で問題になり国内未発生の病害虫の経済被害リスク評価手法を確立する。また、侵入防止に実効性のある診断技術の開発、周辺植生情報等を組み入れた発生予察技術開発の他、国内新興・再興病害虫のまん延予測と回避戦略を提示し、植物防疫行政との連携による対処方針を提案する。カンキツグリーニング病などの分布拡大のおそれがある病害虫については、新規侵入地域における撲滅策及び分布域縮小策を策定する。

普及成果情報

2015年 東北農業研究センター (主要普及成果)
雑草種子を駆除し翌年の雑草を大幅に減らす自走式蒸気処理防除機
2015年 中央農業総合研究センター (主要普及成果)
農耕地を対象とした外来雑草早期警戒システム
2015年 中央農業総合研究センター (主要普及成果)
バンカー植物を用いた捕食性天敵タバコカスミカメ利用技術マニュアル
2015年 中央農業総合研究センター (主要普及成果)
多段接ぎ木法を用いたナス科果菜類の複合土壌病害の防除
2015年 中央農業総合研究センター (主要普及成果)
高接ぎ木ピーマン栽培による青枯病防除
2015年 北海道農業研究センター (主要普及成果)
ネグサレセンチュウおよびネコブセンチュウの多種同時診断技術
2014年 中央農業総合研究センター (主要普及成果)
研究者と生産現場が相互に情報を発信、共有できる雑草生物情報データベース
2014年 果樹研究所
交信かく乱剤を設置したモモ圃場におけるモモハモグリガの発生消長調査法
2014年 花き研究所 (主要普及成果)
日本国内への侵入警戒を要するポスピウイロイドの宿主範囲
2014年 北海道農業研究センター (主要普及成果)
ナス科対抗植物の短期間栽培によるジャガイモシストセンチュウ密度低減
2012年 果樹研究所
国内での発生が初めて確認されたチュウゴクナシキジラミ
2012年 中央農業総合研究センター
斑点米カメムシ、アカスジカスミカメの持続性合成フェロモン剤の開発
2012年 野菜茶業研究所 (主要普及成果)
チャの新害虫チャトゲコナジラミの発生状況に対応した戦略的総合対策マニュアル
2012年 中央農業総合研究センター (主要普及成果)
臭化メチル剤から完全に脱却した産地適合型新規栽培マニュアル
2012年 中央農業総合研究センター (主要普及成果)
ピーマンモザイク病を予防する生物農薬「弱毒ウイルスL3-163株」
2012年 中央農業総合研究センター
Stvb遺伝子座によるイネ縞葉枯病抵抗性を判別する分子マーカー
2011年 果樹研究所
無病苗定植と圃場内および地域一斉防除によるグリーニング病の発生抑制
2011年 中央農業総合研究センター
帰化アサガオ類の圃場への侵入を防止するための圃場周辺管理技術
2011年 野菜茶業研究所
チャの侵入新害虫チャトゲコナジラミとカンキツ害虫ミカントゲコナジラミの識別法
2011年 中央農業総合研究センター (主要普及成果)
高接ぎ木法を核としたトマト青枯病総合防除技術

研究成果情報

2015年 東北農業研究センター
東北地域における2003-2013年の斑点米カメムシ類の発生と被害の傾向
2015年 北海道農業研究センター
バレイショの畝間リビングマルチ栽培は一部のゴミムシ類の生息数を増やす
2015年 北海道農業研究センター
透明カップを用いたダイズシストセンチュウ密度推定法
2015年 野菜茶業研究所
チャトゲコナジラミの有力天敵シルベストリコバチには2つの遺伝的系統がある
2015年 野菜茶業研究所
茶園に生息する有用天敵カブリダニ類の生息密度を推定する方法
2015年 野菜茶業研究所
クエン酸鉄(III)錯体のキュウリ炭疽病に対する発病抑制効果
2015年 野菜茶業研究所
トマト葉かび病菌の国内レースにおける遺伝的背景の解析
2015年 野菜茶業研究所
トマト葉かび病菌の国内レース分布
2015年 果樹研究所
果樹害虫チャバネアオカメムシの増殖地からの離脱と飛来を予察する簡易手法
2015年 果樹研究所
ブドウのチャノキイロアザミウマ第1世代は光反射シートマルチにより抑制できる
2015年 果樹研究所
パーティクルガン法による紫紋羽病菌の形質転換
2015年 果樹研究所
土壌中における白紋羽病菌への新種マイコウイルスの自然感染
2015年 中央農業総合研究センター
黄色粘着トラップおよびJPP-NETの有効積算温度計算シミュレーションを利用した簡便なヒメトビウンカの発生予察
2015年 中央農業総合研究センター
RT-LAMP法と粘着トラップを用いたウリ類退緑黄化ウイルス保毒の判別
2015年 中央農業総合研究センター
シハロホップブチル抵抗性ヒメタイヌビエにおける多除草剤抵抗性と有効な除草剤
2015年 中央農業総合研究センター
高接ぎ木法によるナス青枯病の抑制効果
2014年 北海道農業研究センター
日本のコムギ縞萎縮ウイルスのゲノム配列の多様性
2014年 野菜茶業研究所
土着天敵ギフアブラバチに対する各種農薬の影響
2014年 野菜茶業研究所
チャ害虫の寄生性天敵キイロタマゴバチに悪影響の大きい農薬類
2014年 野菜茶業研究所
発生予察用フェロモントラップでタバコガ類と誤認されやすいチョウ目昆虫
2014年 野菜茶業研究所
煮沸チャ葉法によるチャ輪斑病菌のQoI剤感受性簡易検定
2014年 花き研究所
ペチュニアにおけるジャガイモやせいもウイロイドの種子伝染
2014年 果樹研究所
モモノゴマダラノメイガが発する超音波はメスの交尾とオスの飛翔を制御する
2014年 果樹研究所
遺伝子診断法によるチャノキイロアザミウマC系統の判別
2014年 中央農業総合研究センター
トウモロコシ萎凋細菌病菌を迅速かつ簡便に検出するLAMP法
2014年 中央農業総合研究センター
イネのいもち病量的抵抗性遺伝子は、組み合わせにより集積効果が異なる
2014年 中央農業総合研究センター
伸長反応1秒PCRによるQoI剤耐性イネいもち病菌の診断
2014年 中央農業総合研究センター
PCRのためのイネいもち病菌DNAの簡易調整法(Paper-Disc法)
2014年 中央農業総合研究センター
MPN-PCR法による土壌中からの青枯病菌の高感度かつ定量的検出手法
2014年 中央農業総合研究センター
非病原性細菌試作液剤は各種キサントモナス属病害に防除効果を持つ
2013年 中央農業総合研究センター
スギナの繁殖器官である塊茎と根茎の形成はアンモニア態窒素により阻害される
2013年 中央農業総合研究センター
簡易に雑草植生を調査するステップ-ポイント法
2013年 中央農業総合研究センター
「宮崎もち」の新規穂いもち抵抗性QTL qPbm11は単独で作用する
2013年 中央農業総合研究センター
土着寄生蜂コナガサムライコマユバチの簡易捕獲法および遺伝子診断法
2013年 中央農業総合研究センター
バクテリオファージのイネ内穎褐変病に対する防除効果
2013年 果樹研究所
チャバネアオカメムシは体サイズより脱皮を優先し齢期間は餌条件に左右されない
2013年 果樹研究所
天敵類のピットフォールトラップ捕獲数に対する容器サイズの影響は限定的である
2013年 果樹研究所
土着カブリダニ類に対するチャ、イヌマキ花粉の代替餌としての有用性
2013年 東北農業研究センター
アカスジカスミカメ性フェロモン製剤と試作製剤によるデータの変換方法
2013年 東北農業研究センター
SSRマーカーを用いた同一品種栽培圃場間のいもち病菌集団の識別
2013年 近畿中国四国農業研究センター
甘草抽出物のキュウリべと病に対する発病抑制機作
2013年 野菜茶業研究所
土着天敵タイリクヒメハナカメムシとギフアブラバチの生存に有効な植物
2013年 野菜茶業研究所
茶園に設置されている誘蛾灯はゴミムシ類の種多様性把握にも利用できる
2012年 中央農業総合研究センター
特定外来生物アレチウリの侵入・分布拡大メカニズム
2012年 中央農業総合研究センター
数種畑雑草種子の発芽は短期湛水処理により斉一化する
2012年 中央農業総合研究センター
選抜したSSRマーカーは国内分離いもち病菌の集団解析に有用である
2012年 近畿中国四国農業研究センター
飛翔能力を欠くナミテントウの孵化率および産卵数は系統間交雑により回復する
2012年 野菜茶業研究所
スワルスキーカブリダニを土着カブリダニ種から識別する方法
2012年 果樹研究所
果樹害虫モモノゴマダラノメイガの交尾にはオスの発する超音波が必須である
2012年 果樹研究所
日本国内で再発見された土着天敵ハダニクロヒメテントウの近縁種からの識別法
2012年 中央農業総合研究センター
トマト台木品種LS-89の青枯病抵抗性関連遺伝子の網羅的探索
2012年 中央農業総合研究センター
外来遺伝子を使用しない標的遺伝子欠損細菌株の作出法
2012年 野菜茶業研究所
QoI剤耐性チャ輪斑病菌の遺伝子診断法
2012年 果樹研究所
高感度と安定性を備えたカンキツグリーニング病の診断用新規プライマーセット
2012年 中央農業総合研究センター
蒸気処理による作物収穫後地表面の雑草種子駆除技術
2011年 中央農業総合研究センター
輸出上の障害となるコーヒーオオハリセンチュウの植木産地からの初記録
2011年 中央農業総合研究センター
水田輪作ダイズ圃場の発生前歴に基づくGISを用いた雑草発生危険度予測
2011年 果樹研究所
ナシマルカイガラムシ歩行幼虫の発生量はフェロモントラップによる雄成虫誘殺数で推測できる
2011年 中央農業総合研究センター
天然テルペノイドであるスクラレオールはサツマイモネコブセンチュウ感染を抑制する
2011年 果樹研究所
新種の白紋羽病菌Rosellinia compactaの性状と死滅温度
2011年 北海道農業研究センター
ジャガイモシストセンチュウふ化促進物質の全合成ならびにそのふ化活性
2011年 中央農業総合研究センター 花き研究所
トマトの花芽形成組織における2種ウイロイドの組織内分布の差異
2011年 果樹研究所
ブドウ晩腐病菌(Colletotrichum gloeosporioides)の効率的な分生胞子形成法
2011年 果樹研究所
国内で初めて検出されたカンキツソローシスウイルス
2011年 果樹研究所
温州萎縮ウイルスの2分節ゲノムを標的とした高精度診断法
2011年 中央農業総合研究センター
植物の忌避および誘引作用を利用したミカンキイロアザミウマの行動制御