新世代水田輪作の基盤技術と低コスト生産システムの構築
水田輪作の生産性向上と低コスト化、耕地利用率の向上に向けて、水田生産における基盤的な栽培技術を高度化する。また、平成20年比で、品目合計の生産コストを5割程度削減するとともに、耕地利用率を2割程度向上可能な地域特性に対応した水田輪作システムを確立する。
慣行栽培に対して安定的に水稲収量5割増、大豆収量25%増を達成するため、水田生産の基盤技術として、多用途水稲品種等の低投入超多収栽培法、地下水位制御システム等を利用した根粒機能を最大限に活用する大豆安定多収栽培法、地下水位制御システムによる用排水管理技術を開発する。
地域条件に対応して、イネ-コムギ、オオムギ-ダイズを基幹とし、ソバ、ナタネ等の作物も組み入れた高度な作付体系を可能とする栽培技術体系を確立・実証する。作業適期が短い北海道・東北地域では、グレンドリルやチゼルプラウ等を活用した高能率な大規模水田輪作システムを確立する。北陸地域の排水性の悪い重粘な土壌では、畝立て播種技術等によるムギ、ダイズの安定多収栽培とエアーアシスト等による水稲湛水直播栽培を組み合わせた2年3作体系、関東東海地域では播種時期の降雨条件に対応した不耕起や浅耕播種技術と地下水位制御システムを組み合わせた2年4作体系、近畿中国四国地域では、寡雨条件の下で節水型の水稲直播とムギ、ダイズの簡易耕を利用した中小規模水田の省力輪作体系を開発する。さらに、九州地域では多様な作物に汎用利用可能な表層散播機や、高温で生じやすい還元状態に対応した新規苗立ち促進素材等を用いた水稲直播栽培技術を開発する。また、土壌診断や雑草の埋土種子量診断等の圃場診断と雑草発生量の予測に基づく合理的な資材の投入技術により、地力の維持、増進をもたらす土壌管理技術や除草剤使用量を6割程度削減できる雑草管理技術を開発する。
普及成果情報
- 2015年 (主要普及成果)
- 一工程で耕起と同時に種子を表層に全面播きできる表層散播機
- 2015年
- 北部九州におけるべんがらとモリブデン化合物で種子を被覆した水稲湛水直播
- 2015年
- 難防除雑草マルバルコウ防除のための大豆品種「あきまろ」狭畦晩播栽培体系
- 2015年
- FOEAS導入圃場で不耕起播種機を用いた低コストな水稲・小麦・大豆輪作体系
- 2015年 (主要普及成果)
- プラウ耕・グレーンドリル播種による稲-麦-大豆の2年3作輪作体系
- 2015年
- 水稲の無コーティング種子代かき同時浅層土中播種技術
- 2015年 (主要普及成果)
- 農家が収穫残渣等を活用して排水改良できる有材補助暗渠機「カットソイラー」
- 2015年 (主要普及成果)
- 地下水位制御システムが地下かんがい機能を発揮するための下層土の透水条件
- 2015年
- 晩播によるダイズ黒根腐病の発生抑制
- 2014年 (主要普及成果)
- 水田輪作の生産性向上に役立つ地下水位制御システムの活用指針
- 2014年
- 二重ネット工法を用いた畦畔法面におけるシバ(Zoysia japonica)の植栽技術
- 2014年
- イネ稲こうじ病の最適防除日の決定を支援する薬剤散布適期判定システム
- 2014年 (主要普及成果)
- 多雪重粘土地域の地下水位制御システムにおける新技術導入効果の実証
- 2014年
- 光源をもつ携帯型NDVIセンサによる秋まき小麦「きたほなみ」の茎数推定法
- 2013年
- 安価な小型データロガーを用いた土壌酸化還元電位の自動経時計測方法
- 2013年 (主要普及成果)
- 水稲作におけるリン酸減肥の基本指針
- 2013年
- 地下かんがいによる水稲乾田直播の苗立ち安定化と寒地向け直播適性品種の生育指標
- 2013年
- 地下水位制御システム導入地区における水田用水量
- 2013年 (主要普及成果)
- 農家が使える無資材・迅速な穿孔暗渠機「カットドレーン」
- 2012年 (主要普及成果)
- 積雪寒冷地域の水稲・大豆の田畑輪換における土壌肥沃度の実態と維持改善法
- 2012年
- 圃場排水性を改善して施肥・播種を1工程で行うチゼル式不耕起播種機
- 2012年
- 小明渠浅耕播種機を用いて生産費を43%削減する2年3作輪作体系
- 2012年 (主要普及成果)
- 埋土種子の耕種的低減技術を活用した除草剤抵抗性スズメノテッポウの総合防除技術
- 2012年 (主要普及成果)
- 耕うん同時畝立て播種機汎用利用による平高畝を活用した麦-大豆作体系
- 2011年
- 不耕起播種機を用いて生産コストを40%削減する水稲-麦類-大豆水田輪作体系
- 2011年 (主要普及成果)
- プラウ耕・グレーンドリル播種方式の寒冷地向け水稲乾田直播体系
- 2011年 (主要普及成果)
- 放射性物質に汚染された農地土壌の効率的な除染工法
研究成果情報
- 2015年
- チゼル有芯部分耕を活用した大豆の狭畦栽培
- 2015年
- 小麦栽培における節間伸長開始期の指標としての偽茎長
- 2015年
- 低速作業に対応した後付けできる播種機のGPS速度連動化装置
- 2015年
- ダイズの収量補償作用は欠株による減収を補填しない
- 2015年
- 畑作物の作付け頻度が高い地下水位制御システム圃場の排水性
- 2015年
- 種子のモリブデン(Mo)含量は根粒超着生ダイズの窒素固定活性に影響する
- 2015年
- インド型多収水稲品種「北陸193号」の超多収達成条件
- 2015年
- インド型多収水稲品種「北陸193号」の養分吸収特性とカリウムの還元法
- 2014年
- ローラ鎮圧による暖地水稲乾田直播圃場の漏水防止技術
- 2014年
- 施用肥料中の塩化物イオン量が多いと小麦子実カドミウム濃度が高まる
- 2014年
- イネの極多肥栽培において栽培後期の追肥はいもち病を助長しない
- 2014年
- 石灰窒素散布により、飼料用イネ等多収品種由来の漏生イネの発生を低減できる
- 2014年
- トラクタで利用できる浅層暗渠施工器
- 2014年
- コムギ日長反応性遺伝子Ppd-B1及びPpd-D1の生育と収量への影響
- 2014年
- 不耕起水田輪作体系におけるリン酸、カリ減肥下での土壌養分動態と収量性
- 2014年
- 重粘土FOEAS圃場でのネギ・ブロッコリー栽培における水位制御の効果
- 2014年
- 多雪重粘土地帯の地下水位制御システム圃場における水・養分流出
- 2014年
- リアルタイムPCRによる水田土壌中のイネ稲こうじ病菌定量法
- 2014年
- イネ稲こうじ病菌は出穂前の穎花頂部の隙間から侵入する
- 2014年
- 狭畦不耕起栽培はダイズ白絹病の発生量を減少させる
- 2014年
- 低温育苗時の出芽期伸長処理と追肥による水稲品種「北陸193号」の苗質改善
- 2014年
- 肥効調節型肥料を利用した多収水稲品種「北陸193号」の省力・低投入施肥技術
- 2013年
- パン用小麦「ユメシホウ」のタンパク質含有率適正化のための施肥法
- 2013年
- ダイズ品種「エンレイ」の縮緬じわが生じた種子の吸水・発芽特性
- 2013年
- 温度依存反応式に基づいた北陸地方における湛水直播栽培の播種早限の推定
- 2013年
- イタリア水稲生産における特徴と低生産費化へのポイント
- 2013年
- 市販条播機の約3倍の作業能率を有する水稲直播用エアーアシスト条播機
- 2013年
- 地下水位制御システムを用いた梅雨明け後に播種する大豆の苗立ち向上技術
- 2013年
- 育苗期に発生する水稲種子伝染性病害の鉄コーティングによる防除効果
- 2013年
- モリブデン化合物とべんがらを用いた水稲湛水直播のための種子被覆法
- 2012年
- 硫酸塩による湛水直播水稲の苗立ち阻害とモリブデン酸塩による軽減効果
- 2012年
- 鉄コーティング水稲湛水直播栽培で使用する活性化種子の発芽生理特性
- 2012年
- 苗立ち安定化に向けた鉄コーティング種子を活用した水稲の無代かき直播
- 2012年
- 北海道向け多収水稲品種「きたあおば」の粗玄米収量ポテンシャルと多収要因
- 2012年
- ダイズ黒根腐病菌の土壌からの特異的検出法
- 2011年
- 多雪重粘土地帯における低コスト水田輪作体系技術
- 2011年
- 耕うん同時畝立て播種はオオムギの越冬後の湿害を軽減する
- 2011年
- ガラス室内におけるイネ稲こうじ病の品種抵抗性評価法
- 2011年
- 市販土壌ECセンサを用いた海水浸水農地の土壌電気伝導度簡易測定法
- 2011年
- 電磁探査法による海水浸水農地の土壌電気伝導度測定
- 2011年
- プラウ耕・鎮圧体系乾田直播での圃場鎮圧による漏水防止手法
- 2011年
- 飼料イネ2回刈り乾田直播栽培における「ルリアオバ」を活用した雑草防除法
- 2011年
- 中山間地域における「水稲・大麦・大豆」2年3作体系の経済的効果