地球温暖化に対応した農業技術の開発
土地利用型作物では、主要作物の生育・収量・品質予測モデルを構築し、輪作体系における作期設定法及び高温障害発生リスク管理手法を開発する。また、高温障害、収量変動のメカニズムを解明し、安定多収栽培技術や作物モデルに連動させるための群落気象評価手法等を開発する。さらに、低・高温障害予報や病害虫発生予報を行う早期警戒システムの利用地域を拡大するとともに、早期警戒システムを気候の変動特性解析や気象の中・長期予報に基づくリスク管理手法と統合した栽培管理支援システムを開発する。農作業効率の向上と気象災害回避へ貢献するため、緩和技術として、農耕地土壌からの温室効果ガス排出を削減する栽培技術、農耕地の温室効果ガス吸収機能を向上させる栽培技術を開発する。
果樹では、温暖化影響を評価するマップや晩霜害、発育不良等への対応技術を開発するとともに、温暖化による生理的障害の発生機構を解明する。また、園地の炭素蓄積能力を数値評価する。
畜産では、高温環境下における家畜の泌乳生産や受胎率などの向上技術を開発するとともに、精密栄養管理により反すう家畜からのメタン排出を2割程度抑制する技術及び家畜排せつ物管理過程における温室効果ガス発生を抑制する技術を開発する。
害虫では、気候変動に対応した侵入・移動性害虫の広域移動予測モデルの高度化を中心に発生予察・管理技術を開発する。病害では、新興・再興病の早期検出手法を開発し、分布拡大要因を解明するとともに、顕在化病害を対象とした生産工程管理マニュアルを策定する。
農地・水資源について、気候変動がこれらの資源に及ぼす影響・リスクの高精度な評価手法及び気候変動に対応した保全管理手法等の適応技術を開発するとともに、有機質資材等を活用した農地下層における炭素の長期貯留技術を提示する。
普及成果情報
- 2015年 (主要普及成果)
- 気候変動が農業水利用や水資源に与える影響の全国評価マップ
- 2015年 (主要普及成果)
- イネウンカ類の殺虫剤ピメトロジンに対する感受性検定法
- 2015年 (主要普及成果)
- 収穫前の玄米横断面から乳心白粒の発生を推定する装置
- 2015年 (主要普及成果)
- 1kmメッシュの農業気象データを全国について作成・配信するシステム
- 2014年
- ミカンコミバエ飛来解析システム
- 2014年 (主要普及成果)
- JPP-NETヒメトビウンカ飛来予測システムの実運用
- 2014年 (主要普及成果)
- 炭素繊維担体を利用した温室効果ガス発生量の少ない汚水浄化処理技術
- 2014年
- 寒地黒ボク土における作物残さの一酸化二窒素排出係数と作物の種類の影響
- 2014年 (主要普及成果)
- 農業支援情報の基盤となる50mメッシュ気温データの作成手法
- 2013年 (主要普及成果)
- 有機質疎水材を活用した農地下層への炭素貯留ポテンシャルの全国評価
- 2013年 (主要普及成果)
- 鶏ふん乾燥処理実施設の温室効果ガスの測定により精緻化された排出係数
- 2013年 (主要普及成果)
- 地球温暖化によりリンゴの品質に長期的な変化が起きている
- 2012年 (主要普及成果)
- 土壌凍結深の制御による野良イモ対策技術
- 2012年
- 気候変動下における地下ダム貯水量および硝酸性窒素濃度を予測するモデル
- 2012年
- 淡水レンズ地下水厚の経時変化を把握する深度別電気伝導度測定法
- 2012年
- 1-kmメッシュ農業気象データとその高度利用環境
- 2012年 (主要普及成果)
- 排水路や農道が整備された沿岸部農地に適用する浸水解析モデル
- 2012年 (主要普及成果)
- アミノ酸添加低蛋白質飼料給与技術による肥育豚からの温室効果ガス排出削減
- 2011年
- 収穫前の玄米横断面から乳心白粒の発生を推定する装置
- 2011年 (主要普及成果)
- 灌漑主体流域の農地水利用に与える気候変動影響の定量的評価法
研究成果情報
- 2015年
- 出穂前後の高温によるイネ紋枯病の進展が収量・白未熟粒の被害を増大させる
- 2015年
- パリセードグラス「MG5」のミナミネグサレセンチュウ増殖抑制効果
- 2015年
- 水銀灯を光源とする予察灯や気象データを用いたミナミアオカメムシ発生量の推定
- 2015年
- 放射線による不妊化がイモゾウムシの移動分散・平均生存日数に及ぼす影響
- 2015年
- 夏播き飼料用トウモロコシにおけるワラビー萎縮症発生地域と発生量の予測地図
- 2015年
- 大気CO2濃度上昇によるダイズの収量増加における品種間差
- 2015年
- モンスーンインデックスと冬季気温を利用した農業雪害推定
- 2015年
- 道東の小麦収量に対する高温の影響は地域の日照特性により変化する
- 2015年
- タイの肉牛生産における集約化が温室効果ガス排出量等の環境に及ぼす影響
- 2015年
- ニホングリ「ぽろたん」の自発休眠覚醒モデル
- 2015年
- 自発休眠覚醒後の開花に必要なニホンナシの低温遭遇時間は時期により異なる
- 2015年
- 水稲白未熟粒率に関連する稲体栄養条件の予測モデル
- 2014年
- ピーマン主要産地における加害線虫種はサツマイモネコブセンチュウが主体である
- 2014年
- セジロウンカによるイネ南方黒すじ萎縮ウイルスの媒介条件
- 2014年
- ウシ体外受精時の高温は多精子受精を増加させ胚発生を阻害する
- 2014年
- 夏季の脂溶性抗酸化ビタミンと脂肪酸給与は、酸化ストレスと泌乳成績を改善する
- 2014年
- 気候温暖化における気温上昇下でも東北地方では冷害リスクが持続する
- 2014年
- 温暖化によって東北地方の中生ダイズ品種は増収する
- 2014年
- 放射冷却による気温低下量には無風及び弱風の継続時間が重要である
- 2014年
- 高解像度気象データによる東北地方での葉いもち感染危険度の年次変動の検証
- 2014年
- 全国農地の1kmメッシュ積雪深分布推定モデル
- 2014年
- 圃場の排水不良は暖候期に野良イモの生存率を低下させる
- 2014年
- 農業水利施設の洪水危険度評価のための短時間単位の豪雨データの模擬発生法
- 2014年
- 地下水位の潮汐応答の分析による帯水層の水頭拡散率推定手法
- 2014年
- 帯水層の塩水化を抑制することができる単孔式二重揚水技術
- 2014年
- 密閉縦型堆肥化装置および脱臭装置からの温室効果ガスの排出係数測定事例
- 2014年
- リンゴの赤着色に関わるMYBはCOL11から光・温度情報を受ける
- 2014年
- 自発休眠に関わるDAM遺伝子はCBFを介して低温シグナル情報を受ける
- 2014年
- 夜間遠赤色光照射はニホンナシの枝伸長停止期と花芽形成期を早める
- 2014年
- 昇温処理でのダイズの群落コンダクタンスの低下は気温よりも飽差の影響が大きい
- 2013年
- コムギの栽培管理を支援する発育モデル
- 2013年
- ニホンナシ子葉へのアグロバクテリウム感染には超音波処理が有効である
- 2013年
- 冬季のニホンナシ枝道管液糖含量は休眠覚醒と低温反応の両方の影響を受ける
- 2013年
- 気候モデルMIROC5を用いた予測で将来まで「やませ」は発生する
- 2013年
- 北日本における4月と8月平均気温は1998年以降強い負の相関関係を示す
- 2013年
- キク寄生性ネグサレセンチュウ2種の寄主作物
- 2013年
- ヒメトビウンカの共生細菌スピロプラズマはオス幼虫を殺して性比をメスに偏らせる
- 2013年
- 2005-2012年に日本に飛来したトビイロウンカとセジロウンカの薬剤抵抗性の変動
- 2013年
- ベトナム南部メコンデルタにおけるトビイロウンカの発生量変動と移動実態
- 2013年
- エンドファイト感染イタリアンライグラスはアカスジカスミカメ幼虫の密度を抑制する
- 2013年
- 主要新規需要米品種におけるセジロウンカの産卵特性の品種間差異
- 2013年
- イネ体内のイネ南方黒すじ萎縮ウイルスの局在とセジロウンカのウイルス獲得条件
- 2013年
- ミナミアオカメムシ成虫は紫外光に強く誘引される
- 2013年
- 高温乾燥風による水稲の乳白粒発生機構
- 2013年
- 豪雨に伴う水稲の冠水被害量推定のための模擬冠水試験法
- 2013年
- 気候変動が及ぼす地域別稲作経営利潤の影響予測モデル
- 2013年
- アマニ油脂肪酸カルシウム給与で交雑種牛の出荷月齢が短縮できる
- 2012年
- 高温登熟条件における水稲の胴割れ発生の品種間差
- 2012年
- 出穂開花期の気温上昇に対するイネ8品種の稔実率の反応
- 2012年
- 土壌凍結の発達程度が冬期の硝酸態窒素の移動に与える影響
- 2012年
- 北海道の水田転換畑から発生する一酸化二窒素は黒ボク土より泥炭土で大きい
- 2012年
- ニホンナシ「幸水」の一年枝および花芽における冬季の糖代謝の特徴
- 2012年
- 高温下の高湿度は育成前期乳牛の暑熱ストレスを増大する
- 2012年
- 紫黒米の給与により暑熱環境下の種雌豚の血漿抗酸化状態が改善する
- 2012年
- カシューナッツ殻液は乾乳牛のメタンを大幅に抑制できる
- 2012年
- 家畜排せつ物貯留の実施設における温室効果ガス排出精密測定システム
- 2012年
- イチモンジカメムシ雄成虫が放出するフェロモン成分比は日齢によって変化する
- 2012年
- エンドファイト感染イタリアンライグラスはカメムシ目害虫数種に殺虫効果を有する
- 2012年
- フタテンチビヨコバイの発生量は前年12月以降の気温・降水量に応じて変動する
- 2012年
- ヒメトビウンカの海外からの飛来を予測する方法
- 2012年
- ハスモンヨトウのオスは中国などから九州・韓国南部へ長距離移動する
- 2012年
- 統合利水運用による渇水リスク低減効果の評価指標
- 2012年
- 地球温暖化緩和策となる有機質暗渠疎水材による炭素貯留技術の評価
- 2011年
- 高温年の玄米品質低下を抑制するための用水充足度の重要性
- 2011年
- ヒメトビウンカの海外飛来はイネ縞葉枯ウイルスの分子系統解析からも支持される
- 2011年
- イネ紋枯病は水稲の白未熟粒発生を助長する
- 2011年
- 台風によりアジアの個体群間の境界を越えて移動するトビイロウンカの解析事例
- 2011年
- 飼料トウモロコシ圃場でのフタテンチビヨコバイとヒメトビウンカの発生消長調査法
- 2011年
- 高温環境下の乳牛は分娩後に体内の酸化ストレスが増大する
- 2011年
- ブロムクロロメタン製剤は消化率を落とすことなく、反すう家畜のメタン抑制ができる
- 2011年
- 夕方の相対湿度と露点温度から翌朝の最低気温を予測する簡便式
- 2011年
- 衛星画像データに基づく土壌の母材を考慮した畑地土壌の炭素貯留量の推定
- 2011年
- 大規模農地でも適用可能な土壌凍結深制御手法
- 2011年
- 畑地における作物由来炭素投入量の推定および土壌炭素貯留量の将来予測
- 2011年
- 水稲収量の大気CO2濃度反応における品種・窒素依存性のモデルシミュレーション